2013 Fiscal Year Research-status Report
相分離曲線のスケーリング極限と臨界指数の確率論的研究
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23540136
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
樋口 保成 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60112075)
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Keywords | イジングモデル / パーコレーション / スケーリング関係式 / 臨界点 / スケーリング極限 |
Research Abstract |
本年度は、2次元イジングモデルの高温域における(外部磁場を動かしたときの)パーコレーションの横断確率のスケーリング極限について研究を始めたが、当初から予想していたことではあったが、独立なパーコレーション問題に対して、イジングモデルでは外部磁場の影響でモデルの対称性がなくなっているため、独立な場合の「色交換の手法」という重要な手法に対応する議論が見つからず、それにかわるうまい手段をなかなか発見できず、時間がたってしまった。 臨界温度直上でのスケーリング極限についても新しいことはなにもわからないままでいる。 そこで、スケーリング関係式の結果について、これまでの議論を整理してみて、議論を見やすくすることに力を注いでみた。その結果、これまでの証明を少し改良して、より自然な議論にまとめなおすことができたが、相変わらず「色交換の手法」に対応する新しい議論の端緒となるものは発見できないで現在に至っている。 やや対象を広げて、 First passage percolation の問題と関連したところで検討を始めているが、まだ新しい結果を得るまでには至っていない。年度終盤に D. Kiss 氏の講演で、知ったことであるが、 frozen percolation, や森林火災のモデルというものとパーコレーションが深い関係にあり、その一部はイジングモデルにも拡張できそうで、しかもスケーリング極限とも関係がありそうである。今後の検討の一つの方向として模索を始めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
上述した通り、当初の計画でも難航が予想されていたスケーリング極限の問題は、極限の存在からして難航している。周辺の問題は順調に解けてはいるが、スケーリング極限に関して何の手がかりもつかめないままというのが実情で、遅れているとしか判定のしようがない。
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Strategy for Future Research Activity |
一つの方向はこれまで成功している、臨界指数の関係式をイジングモデルに拡張するということで、一部まだ示していない不等式があり、この証明を試みる。もう一つの方向は周辺へ目を広げて、first passage percolation の問題で関連する問題を探してみることを試みる。もちろん、今年度できなかった「色交換」に対応するのはエネルギーエントロピーの釣り合いをどのように定式化するかという問題で、これは重要な問題なので、引き続き解決を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
病気治療のため1週間以上日本を離れることが難しい状況が続いて外国への出張ができなかったことによる。 国内の研究者を神戸に呼び討論をする形にして無理なく研究計画を遂行する予定。
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