2012 Fiscal Year Research-status Report
準結晶構造における制御点集合を用いた近似グリッドの構成
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23540141
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
小松 和志 高知大学, 教育研究部自然科学系, 准教授 (00253336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋山 茂樹 筑波大学, 数理物質科学研究科(系), 教授 (60212445)
後藤 了 東京理科大学, 薬学部, 教授 (50253232)
江居 宏美 弘前大学, 理工学研究科, 助教 (60333051)
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Keywords | 準周期タイリング / grid |
Research Abstract |
平成24年度は,まず,コンウェイ・ワームの方向をコンウェイ・ワームの境界を成すエッジのなす方向の極限と定義することを試みた。しかしながら,既知のタイリングに対しては有効であることを確認できたものの,さらなる進展をみるには至らなかった。そこで方向転換を行い,環状拡大と呼ばれるタイリングの構成法に重点をおいて,研究を進めた。準結晶の数理モデルである準周期タイリングの準周期性は非周期性とrepetitiveという性質と考えられることがしばしばある.環状拡大という構成の各ステップにおいて得られるタイルの集まり(パッチと呼ばれる)の境界を記号列で表し,そのsubstitution ルールを用いて表現することを行っている.これにより拡大の仕方を制御し,非周期性のみならず,よりrepetitiveに近い非周期タイリングを構成することに大きな役割を果たすことが分かった。現時点ではこの環状拡大という方法では,repetitiveな非周期タイリングを構成するには至っていない。一方で,回転対称性をもつ非周期タイリングについては進展が見られた。実際の準結晶の数理モデルである正三角形と正方形をプロトタイルにもつタイリングにおいて,一点からタイルを環状に一段階拡大した局所配置(vertex configuration)が3種類である場合に,6回回転対称性をもつ非周期タイリングを組織的に構成する方法を発案した。これはプロトタイルのsubstitution ルールが与えられていなくても,階層的な有向グラフを用いて環状拡大を制御できるという指針を示す結果である。さらに三角形と正方形をプロトタイルにもつ準周期タイリング,非周期双曲平面タイリングにおいても,その構成で進展が見られた。これらは本研究課題において重要な結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コンウェイ・ワームの方向をコンウェイ・ワームの境界を成すエッジのなす方向の極限と定義することを試みたが、この試みにおいては十分な進展は得られなかった。しかしながら、環状拡大と呼ばれるタイリングの構成法においては,プロトタイルのsubstitution ルールが与えられていない場合に,6回回転対称性をもつ非周期タイリングを組織的に構成する方法を発案した。これは一般化が可能な方法であると考えている。また、環状拡大を用いず,パッチのsubstitution ルールを用いて,三角形と正方形をプロトタイルにもつ準周期タイリングを組織的に構成することにも成功している。双曲平面のタイリングにおいても,タイリングを特徴づけるタイルの配置を記述する方法を定式化することができる。この結果を論文として発表することができた。副産物として,8本鎖の環状分子の立体構造の数理モデルの配置空間のトポロジーの調べるができた.この結果は将来的には本課題にリンクする可能性を有している.以上より,トータルとしては、当初予定していた成果とほぼ同等の成果が得られたものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もコンウェイ・ワームの方向をコンウェイ・ワームの境界を成すエッジの頻出度を用いて記述することを目指す。そのために特徴あるコンウェイ・ワームをもつタイリングを数多く構成してゆく。プロトタイルのsubstitution ルールが与えられていない場合に,環状拡大を用いず,パッチのsubstitution ルールを用いて,三角形と正方形をプロトタイルにもつ準周期タイリングを組織的に構成することには成功している。この方法を一般化してゆきたい。環状拡大において,双曲平面タイリングでは,その非周期性を調べるのを容易にする特定のタイル配置を追跡する記述を定式化した。双曲平面のタイリングにおいては,ユークリッド平面での回転対称性にあたる楕円型の対称性をもつ非周期タイリングを網羅的に構成することができるものと考えている。この手法はユークリッド平面のタイリングにも適用できる可能性がある。この可能性を追求する。以上のタイリングの構成は互いに関係しており,総合的に調べてゆく。また,本課題の副産物として,環状分子の立体構造の数理モデルの配置空間のトポロジーを調べることに応用できるが,この方向性でも研究を進めてゆく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(5 results)