2012 Fiscal Year Research-status Report
時間依存の摂動をもつマルコフ過程の大域的性質とその応用
Project/Area Number |
23540147
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
金 大弘 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (50336202)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑江 一洋 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (80243814)
|
Keywords | large deviation / gaugeability / additive functional / Monte Carlo method / restrained resampling |
Research Abstract |
前年度の研究で明らかにした零エネルギーを含む飛躍型ファインマン・カッツ半群に対するスペクトル半径のLp独立性を用いて,シュレディンガー作用素の劣臨界性やファインマン・カッツ汎関数に対する可積分性などが判定できる解析学的特徴付けを与えた。このような解析学的特徴付けは,グロバルな熱核の上下評価や超縮小性をもつマルコフ過程から生成される半群に対して,零エネルギーを含む飛躍型ファインマン・カッツ半群を考えた際に熱核の上下評価や超縮小性などが保たれるか否かを判定する基準として役割を果たす他に,ファインマン・カッツ処罰問題と呼ばれる正規化ファインマン・カッツ乗法汎関数の極限測度の存在性とその特定においても応用てきることが分かった。これらの研究結果は著名ジャーナルに投稿済みで査読の結果待ちの状態である。 また,未知であるマルコフ連鎖のターゲット密度を近似する方法において,逐次モンテカルロ法に対する効率的な非ランダム的リサンプリング法の可能性について,韓国科学技術院(KAIST)のDaeyoung Kim教授との共同研究を行い一定の成果が得られた。本結果はProceedings of the IASTED International Conference Signal and Image Processing (SIP 2012)にて発表された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
零エネルギーを含む飛躍型ファインマン・カッツ汎関数に関する研究として,大偏差原理が成立するための最も弱い条件を得た他に,その結果を用いて得られるファインマン・カッツ半群のLp独立性とその応用として,ファインマン・カッツ汎関数の可積分性における解析学的特徴付けも得ることができた。これらの結果は既存の有界変動の加法的汎関数における諸問題を必ずしも有界変動ではないより一般的な加法的汎関数への拡張としてその意味をもつ。 特に,これらの結果は零エネルギーを含む飛躍型ファインマン・カッツ半群を考えた際の熱核の上下評価や超縮小性などが保たれる解析学的条件を与えたことになり,さらにファインマン・カッツ処罰問題と呼ばれる正規化ファインマン・カッツ乗法汎関数の極限測度の存在性とその特定においても応用てきる。その他に,ファインマン・カッツ半群に纏わる様々なポテンシャル論的性質を調べる際に重要な役割を果たすと期待している。 また,逐次モンテカルロ法における効率の良い resampling 法として,既存の systematic resampling 法に代わる restrained resampling 法は,その理論的根拠にまだ改善の余地はあるが,シミュレーションでは大変改良された結果を示していた。
|
Strategy for Future Research Activity |
零エネルギーを含む飛躍型ファインマン・カッツ汎関数に関する研究の引き続きとして,有限な関数から定まらないエネルギー測度をもつ零エネルギー付きファインマン・カッツ汎関数のLp独立性を示す。また,ファインマン・カッツ汎関数の可積分性における解析学的特徴付けの応用として,零エネルギーを含む飛躍型ファインマン・カッツ半群の熱核の上下評価や超縮小性の問題についてさらなる深化研究を行う。 これらの結果は今年度に韓国で開かれるThe Asian Mathematical Conference 2013(AMC 2013)や国内の研究集会や日本数学会にても研究発表を予定している。また,韓国科学技術院(KAIST)のDaeyoung Kim教授との逐次モンテカルロ法に対する効率的なリサンプリング法についての共同研究も引き続き進行させる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|