2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23540150
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
矢崎 成俊 宮崎大学, 工学部, 准教授 (00323874)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 移動境界問題 / クリスタライン曲率流 / 曲率調整型スキーム / 保存型スキーム / 折れ線曲率流 / Hele-Shaw流れ |
Research Abstract |
異なる媒質間を隔てる境界が時々刻々と変形していく現象の数理科学的問題を移動境界問題と総称する.異なる物質,あるいは同一の物質でも異なる状態であれば,それらの間には境界が存在する.したがって,身の周りの至る所でそのような動く境界は観察され,その時間変形する境界を首尾良く追跡することは,理学的にも工学的にも重要な課題となっている.現在までに,様々な移動境界問題に対して,個別に``良い''解法が開発されているが,統一解法はない.一方で,その``良さ''は統一的な視点から解明されつつある.そこで,当該申請研究では,個別問題で発展している解法を統一的に扱い,汎用性が高く,単純で,高精度で,かつ元の問題の性質を保存する解法・数値スキームを確立することを目的とする. 以下,``良い''解法,あるいは良い解法を用いた計算や問題を列記すると,(1)クリスタライン曲率流, (2)曲率調節型の移動境追跡法, (3) 折れ線曲率流, (4) 負結晶成長のモデリング, (5) 非局所的Allen-Cahn方程式を用いた非等方的面積保存曲率流, (6) 時間変化する隙間をもつHele-Shaw流れ, (7) 縦置きHele-Shawセル中を上昇する泡運動のモデリング, (8) Belousov-Zhabotinsky反応(BZ反応)における螺旋現象のモデリング, (9) 爆発問題, (10) 自己相似解の完全分類,となる. 移動境界問題は非線形性が強いため,どの問題にも通用する万能の解析法は確立されていないが,上記項目の特に(2)や(3)の研究が発展し,それより,統一的な解釈がなされつつある.そして解析手法を統合・敷衍することは現在進行中の研究である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年計画の1年目であり,予想した以上の研究成果が得られている.一方で,あまり進展のみられない項目もあった.したがって,トータルするとおおむね順調といえる.
|
Strategy for Future Research Activity |
23年度の研究課題を継続して,さらに深化させる.現段階でいくつかのアイディアは浮かんでいるのでそれを順次実行していく予定である.基本的には,クリスタラインアルゴリズム,曲率調整型スキーム,保存型スキーム,折れ線曲率流あたりの知見を整理して,新しいアイディアに挑戦していきたい.少なくとも,半離散スキームで,best possible な安定なスキームを確立できれば,今後に生かされると期待している.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
旅費に関しては,研究連絡として,海外(スロバキア,チェコを中心としたヨーロッパ)と国内(九州,関西方面中心)に使用し,研究成果発表として,上記の海外地域と国内の他の地域も含めて使用する予定である.また,物品に関しては,研究に必要なものを順次購入していくつもりである.そのほか,必要に応じて研究費を使用していく.
|
Research Products
(3 results)