2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23540153
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
SISI 愛知県立大学, 情報科学部, 准教授 (70269687)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 新ノイズ / ホワイトノイズ / 安定過程 / 超汎関数 / 双対生 |
Research Abstract |
全般的な研究目標としては、ランダムな偶然現象の研究であり、それを独立確率変数系の関数として表現し、解析することである。今回の研究では、偶然現象の数学的表現の一つ、特に安定過程を研究対象とした。独立確率変数系としては、従来の時間をパラメータとするノイズのほかに、空間をパラメータとするノイズ、すなわち新しいノイズの必要性を強く認識し、まず、その性質を解明した。これはポアソン型とも言うべきもので、P’(t、λ)と書く。λは強度と呼ばれ、このノイズの特性量である。応用上で注意すべきことは強度が違えば、スケールの如何を問わず、確率分布は互いに異なったタイプのものとなることである。このような認識のもとに、いわゆるベキ分布の性質を安定過程の研究に関連付けて考察し いくつかの応用問題に適用した。中でも、言語の構造は、新しいノイズの線形関数と見て安定過程への埋め込みを試み、会議や文章の中での単語の位置づけなどを見つけることができた。指数αを決めるのに「データの累積を基礎にする方法を」発見し、有効に用いた。 新しいノイズは空間変数 u をパラメータとするものである。それは空間における推移を表すとした方が好都合なことが多い。よって u = 0 の場合を除いて考える。加法過程のレヴィ分解にその意味を認識することができる。実際の偶然現象の記述には、多次元空間をパラメータ集合とすることが多いので、この認識は単純ではなかった。2次元パラメータのときは、単連結である上半平面を取り上げて、その空間に対応する基本群を単純なものにして、確率場の研究が容易になるようにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(理由)本来の目的はガウス形でない新しいノイズの研究であり、その情報数理における各種の課題への応用であった。従来のノイズは連続時間をパラメータとするガウス型ノイズ(ホワイトノイズ)およびポアソン型のものであった。それぞれブラウン運動 およびポアソン過程の時間微分として実現される。本研究では、これらとは異質なものとして、すでに、空間をパラメータとする新しいノイズの提案と、その重要性について論じ、Springer 社の Ricerche 誌に論文として投稿し受理された。空間のパラメータ u は、位置というよりは、点の推移の量とみるのが本旨であることを認識し、1次元では u=0 の場合を除いた。時間的一様な加法過程のレヴィ分解で、複合ポアソン過程の部分に u=0 の要素が現れないことと同じ状況である。 2次元パラメータの場合は、(0,0) を除くことになるが、それは幾何学的にみるき、その空間の基本群が Z と同型になり、u-曲線 をパラメータとする確率場を扱うことが不便となる。 そこで、u を上汎平面に制限したとき、そこに作用する変換として線形群 SL(2,R) が自然に考えられる。これを利用して、u をパラメータとするポアソン型のノイズの強度の集合のなす線形空間における SL(2,R) の連続表現を得た。この結果は論文として、現在投稿中である。 一方、ポアソン型のノイズは強度が違えば(スケールの変換と違って)タイプが異なる。強度の変更は affine 変換では不可能で、これに対して、時間 t を復活させて、時間の延長の形で強度を増やすしかない。このような考えから、いわゆるベキ分布の扱いを再考してみた。 ベキ分布は安定過程への埋め込みが可能で、その結果、確率過程の時間延長の形で 強度を変えることができる。こうして、ベキ分布の新しい取扱いを提案することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的である新しいノイズの研究は、既存の成果はほとんど無いので、基礎からの積み重ねが必要である。空間的な連続パラメータを持つ場合では、ポアソン型が基本である。 与えられたノイズのスケールの変換による研究は、ある程度進み報告すべき成果も得ている。しかし、興味あるのは、スケールではなく、強度の変換である。 対象とするノイズがポアソン型であるため、ガウス型の場合と違って、そのタイプの変換がより重要となる。その変換は強度を変えることによって得られるが、それはスケールの変換では達成できない。強度を変換する手段の一つとして「時系列への埋め込み」をして、その時間変更の方法を提案して現在研究中である。ここでは、時系列のパラメータである時間の変更(延長あるいはカットする方法)であるが、統計的な実際問題では、それを許容する客観条件が整っているかどうかとぃうことになる。勝手な机上のプランでは説得力がない。 現在考えていることは、典型的な実例にあたって、時間を延長したりカットしたりすることで、強度を変えることの妥当性を見ることであり、研究目的実現への行きずまりを打破する一つの道ではないかと考えている。現在医学的なデータ(腎臓患者の治療の経過と、それに関連するデータ)を扱っている。まだ、結果を報告できる段階には至っていない。 このデータはまたベキ分布の解析の応用にも適当な例になっている。ポアソン過程を構成する指数分布に従う変数について、実例から、いわゆるlack of memory なる性質の反映を見ることは、意外にも、基本的なものであることを認識した。ベキ分布の分析においてもそれを認識したい。 このような研究と事実の認識から、次の段階として、この新しいノイズの非線形関数の扱いがある。すでに、当然ガウス型の場合のようにはいかない実例をみているが、一般論に進みたいと準備を進めている段階である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大別して次のような4種類である。1.現在問題にしている新しいノイズの関数の取扱いである。主として理論であるが、実例を得て具現化図りたい。資料集めや整理のために若干の費用を必要とする。2.2013年「無限次元解析と量子確率論およびその応用」国際学会(於:シンガポール国立大学)の実行委員会の副委員長になったので、その準備として、2012年度内(おそくとも2013年度始め)愛知県立大学において、サテライト国際学会を開催することになった。私がその開催委員長を務めるので、2012年度中に準備の行事を行う。開催費及び準備の費用を必要とする。3. フランスにおける「量子確率と無限次元解析」国際学会への出席と研究発表を要望されているので、そのための旅費などの費用が必要である。また、イタリアのローマ大学との交流は、ここ数年間継続して実施している。相互訪問してミニ研究集会を行い、その効果を広めている。費用は相互に自己負担となっているので、旅費などの経費を必要とする。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Levy の安定過程からベキ乗分布へ2011
Author(s)
Si Si
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Journal Title
Proceedings of Symposium on History of mathematics Research center of Computational Math. Science有
Volume: 32
Pages: 136-145
Peer Reviewed
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