2011 Fiscal Year Research-status Report
共形ガリレイ代数の表現と直交多項式、量子多体系への応用
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23540154
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
會澤 成彦 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70264786)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際研究者交流(オーストラリア) / リー代数 / 表現論 |
Research Abstract |
本研究の目的は共形ガリレイ代数(以下CGA)というリー代数の表現論を発展させ、その物理系への応用を行うことである。考える物理系が存在する空間の次元 d とスピン l を指定すると CGA がひとつ定義される。表現論の重要な問題のひとつに既約表現を分類することがある。本年度の研究で d=2, l=1 の CGA, d=1 で l が任意の半整数である CGA の既約表現の分類に成功した。d=2, l=1 の CGA の表現論の応用として、CGA が生成する座標変換で不変となる偏微分方程式を導出した。さらに、d=1 の CGA の研究の副産物として1997年に提唱された CGA の表現に関する予想が正しいことを示すことができた。 また、 CGA を超対称化した代数に対しても既約表現の分類をすることができた。この代数も (d,l) を与えることで定義されるが、今回分類に成功したのは d = 1,2,3 で l = 1/2 の超対称 CGA である。 以上は有限次元の代数であるが、CGA は容易に無限次元に拡張することができ、さまざまな拡張がしられている。そこで、Martelli と Tachikawa が導入した d=2, l=1 に対応する無限次元 CGA の既約表現の分類を行い、特別な場合を除いて Verma 加群が既約であることを示した。また、この代数の Heisenberg 演算子による表現を与えることができた。 以上のように、これまであまり研究されてこなかった種類のリー代数、およびそれを超対称化、無限次元化したものの表現論を押し進めることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は有限次元の CGA の表現の分類を目標としていたが、CGA を超対称化したもの、無限次元化したものに対しても成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のように CGA は d と l を与えることによりひとつ決まる。今年度は d を固定し l をさまざまに変化させた代数についての研究を行ったが、今後は d を変化させた代数について同様の研究、つまり、既約表現の分類を行う。おそらくこれまでと同様の方法は d が大きい場合には適用が難しくなるであろうから、新たな手法を開発する必要があると思われる。「既約表現の分類」と言ったが、ここでいう表現は最高ウエイトタイプと呼ばれるものであり、その他の表現も物理系への応用では重要となる。その他の表現としては Heisenberg 代数を用いたものと coadjoint 表現が応用上重要と考えている。さまざまな CGA およびそれを超対称化、無限次元化ものに対して Heisenberg 代数による表現と coadjoint 表現を具体的に構成するのが今後の目標のひとつである。具体的な構成方法は知られていないが、他の代数の既知の表現を参考にし、CGA の場合を構成してきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は国際会議への参加を2回予定している。また、海外の共同研究者を招聘して、あるいはこちらから出向いて共同研究を行いたい。これらのための旅費が研究費の主な用途である。
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