2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23540155
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Research Institution | Tsuda College |
Principal Investigator |
貞廣 泰造 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (00280454)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | loop erased random walk |
Research Abstract |
不純物を含むダイマー模型(ある種の非二部平面周期グラフの完全マッチング)の研究を行った。研究の目的の一部を達成することが出来た。より具体的にはある条件のもとで、二つ以上不純物を含む系において、配置の総数(分割関数)を厳密に計算する公式を得ることが出来た。この結果はS.Fomin氏のloop erased walkに関する結果と、これまでに我々が得ていた、配置とspanning forestとの関係式とをあわせることで得られた。Fomin氏の結果はloop erased walkという確率論の対象と、代数的組合せ論、表現論とのさらに深い関係を予感させるものであり、この方向で研究が進展することを予想させる。またこの公式がR.Kenyon氏とD. Wilson氏が最近得た結果からも導き出せることが分かり、結果の改良、一般化、応用が期待出来る状況にある。 研究計画書に書いたように組織的な計算機実験を行った。その結果、上述の数え上げ公式を得るヒントを得ることが出来、また結果の数値的検証を行うことが出来た。数値実験の方法を確立すること自体が計算機科学にとっても興味深い問題であり、今後もこの方向で成果が上がることが期待出来る状況にある。 上述の成果を京都大学数理解析研究所で開催された研究会と、中国科学院で開催された研究会において報告した。現在のところ、これらの結果を論文として公表することが出来ていないが、次年度以降に研究会での報告と論文の公表を行う予定でいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の欄に書いたように最大の目的のひとつであった二つ以上の不純物を含む系に関して、限定的ではあるが結果が得られた。しかし、これを応用し、系が大きくなるときの漸近挙動や連続極限を得ることは現時点では出来ていない。また研究計画に書いた組織的計算機実験はうまくいき、今回の成果を得るきっかけを得ることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画にも書いたように学習院大学中野史彦氏とは定期的にセミナーを開き、よい成果を得ることが出来た。今後は国内外、他分野の研究者とも交流を持ち、あらゆる可能性を追求していきたい。また組織的な計算機実験を継続し、よりよい数値実験アルゴリズムを開発する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
米国で開催されるACM-SIAM Symposium on Discrete Algorithms (SODA13)に出席する予定でいる。この会議では伝統的にマルコフ連鎖モンテカルロ法に関して最新の研究成果が報告されている。旅費として30万円を使用することを予定しているまた、国内ではFormal Power Series and Algebraic Combinatorics 2012が名古屋大学で開催されるので、この会議とそのサテライト会議に出席する予定でいる。また琉球大学に石川雅雄氏をたずねて議論を行う予定でいる。これらの国内旅費に25万円を使用する。また、計算機の周辺機器、使用量として10万円程度を使用する予定でいる。
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