2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23540158
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
町田 元 国際基督教大学, アーツ・サイエンス研究科, 研究員 (40090534)
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Keywords | 離散数学 / 普遍代数 / 多値論理 |
Research Abstract |
本研究の対象である「クローン理論」は,普遍代数や多値論理などの分野において重要な位置をしめる理論である。集合 A の上で定義される多変数関数の集合で,合成に関して閉じているものを A 上のクローン (clone) という。有限集合 A (|A| > 2) に対し,A 上のクローンの全体は(連続濃度をもつ)束をなす。クローン束は大変複雑な構造をもつため,その構造の解明は数十年間にわたり未解決のままである。 23年度から25年度までの本研究では,関数の交換可能性に基づいて定義される中心可能クローンの分類と中心可能モノイドの分類にとくに焦点を当てて研究を進めている。 23年度の研究を受けて24年度には,主に,一般 (|A| ≧ 3) の場合の「 極大中心可能モノイドと極小クローンの関係の解明」の研究と,3値(|A|=3)の場合の「 極大中心可能モノイドの分類」,および,さらに一般に「中心可能モノイドの分類」についての研究を行った。前者について,極小クローンの生成元,とくに極小クローンの生成元となる majority 関数が大変重要な役割をもつことが推察されているが,まだ一般の場合に対する明確な結果を得るまでには至っていない。一方,後者の3値の場合の中心可能モノイドの分類については,極大中心可能モノイドだけでなく,中心可能モノイドをすべて具体的に決定し,それらの間の包含関係を調べた。 3値の極大中心可能モノイドの分類の研究では,3値の極小クローンの分類 (B. Csakany) の知識が有効に用いられた。これに触発されて,本質的極小クローンの研究も行い,3値の本質的極小クローンをすべて決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初から研究目標の一つの柱と考えていた 3 値の中心可能モノイドについて,その分類を完成させることができた。現在,この結果の一般化に向けての研究を始めたところである。一方,極大中心可能モノイドと極小クローンの関係,とくに極小クローンを生成する majority 関数と極大中心可能モノイドの関係について,3 値の場合の極めて興味深い結果が得られているものの,一般の場合については,まだ明確な結果が得られていない。また,3 値の本質的極小クローンをすべて決定することができたことは,一つの重要な成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度および24年度,海外で開催されたシンポジウムや研究集会において本研究課題に関する研究発表を数回行った。そのような機会に,集会の参加者数人と研究課題について討論や意見交換を行い,研究の進め方等について有効な意見を得た。今後の研究の推進にあたっても,これまで同様,国内外のクローン理論の研究者たちと直接に,かつ積極的に議論を行い,検討や助言を得ながら研究を進めることが重要であると考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の使用は、概ね,当初の計画通りに行う。海外とくにヨーロッパやカナダには,本研究課題に強い関心を持つ研究者が多数存在する。次年度も,国際シンポジウムや海外での研究集会に出席して研究発表を行うとともに,海外から研究者を招くなどして,研究上の興味を共有するそれらの研究者たちと直接議論し,また,検討を行う機会を多く持つようにしたい。そのための活動に研究費の多くを振り向けることが,本研究の進捗のため有効であると考える。
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Research Products
(14 results)