2011 Fiscal Year Research-status Report
ハミルトニアンに基づく粒子法の非平衡統計力学的理論に関する研究
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23540166
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鈴木 幸人 早稲田大学, 理工学術院, 主任研究員 (90596975)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 粒子法 / 連続体力学 / 解析力学 / 非平衡熱力学 / 非平衡統計力学 |
Research Abstract |
粘性流れに対する非平衡統計力学的手法と解析力学的手法について文献調査を行った。その中で特に流れの力学を熱力学的に可逆な過程と非可逆な過程の和として表現するGENERIC(General Equation for the NonEquilibrium Reversible-Irreversible Coupling)と呼ばれる定式化に着目した。そこでは可逆過程は相空間上のエネルギー勾配に作用する非退化な歪対称作用素によって表され、非可逆過程はエントロピー勾配に作用する正定値対称作用素によって表される。ここで歪対称作用素はエネルギーの保存を保証しており、正定値対称作用素はエントロピー生成が負にならないことを表している。ただしこの定式化は流れのEuler記述において行われており、粒子法に応用するためには流れのLagrange記述との関連を明らかにしなければならない。そこでLagrange記述におけるcanonicalなPoisson構造とEuler記述における非canonicalなPoisson構造の関連を調べた。その結果δ関数を用いた形式的な変数変換によって両者を関連付けることができるとの結論を得た。さらにその関係をどのように離散化して粒子法の定式化を得るかという問題についても検討を行い一つの方法を考案した。これはEuler記述のPoisson構造に基づく粒子法と考えることができる。ただしその有効性の検証については今後の課題であり、非可逆過程の定式化も含めて次年度も引続き検討することとする。一方非可逆過程を表す正定値対称作用素についてはNewton粘性流れに対するものが提案されているが、不明な部分が残されているように思われる。この対称作用素はミクロモデルの粗視化から得ることができるとの研究があり、上記の不明な点とこの粗視化手法の詳細と合わせて次年度も引続き調査を行うこととする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献調査と並行して粒子法の定式化の検討を前倒しで行なったため、調査を今年度中に終了することができなかったが、全体としては概ね計画通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
非可逆過程を表す相空間上の正定値対称作用素に関して調査・検討を行うとともに、第1次案である流れのPoisson構造に基づく粒子法について、それを完成させるべく引き続き検討していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
文献調査の対象あるいは理論研究の補助となる論文・図書の購入費、学会参加および技術打合せのための旅費、学会誌投稿料等の研究成果発表費用など。
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