2013 Fiscal Year Research-status Report
サポートの分離・併合から見た界面ダイナミクスに対する数値解析
Project/Area Number |
23540171
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
友枝 謙二 大阪工業大学, 工学部, 教授 (60033916)
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Keywords | 応用数学 / 自由境界 / サポート分離併合 / 界面ダイナミクス / 差分法 |
Research Abstract |
本研究では、「サポート・ダイナミクス」の一つである「蒸発と拡散を伴う流れに現れる浸透領域の変化」を数値的に再現することを目的とする。前年度に続いて 周期的流入・流出を伴う境界条件を課した時に現れるサポートの分離・併合またはその反復性について扱い、その発生メカニズムを解明する数値計算法を構築することである。特に前年度に得られた興味深い結果 即ち 境界条件として与える関数の振幅を一定にした時 "周期を十分短くするとサポート分離が発生しない数値例" に焦点をあてて以下の通り実施した。 1 周期を短くしていくとこれまで分離していたサポートが分離しなくなる数値例を前年度に続いて更に得ることができた。一方これと反対に "どんなに周期を短くしてもサポートが分離したままの数値例" を今回得ることができた。 2 分離しない場合の周期と振幅の関係は明瞭な形ではないが、Galaktionov-Vazquezの特殊解と比較定理を用いて定性的に記述することができると同時にその数学的証明も完成した(現在 論文作成中である)。この時 境界条件として与える関数の時間変化は増大するGalaktionov-Vazquezの特殊解と減少する定数解との組み合わせによって可能となった。 3 固定境界条件の時は 解は 時間無限大で "サポート分離した定常解" と "分離していない定常解" に収束することが証明された。前者ではこれまでの解析では "サポートが有限時間内に分離するか否か" が不明であったが、実際には "有限時間内に分離する" ことが証明された。 4 「Interface直接近似法」を空間2次元に拡張した計算スキームを現在 構成中である。その計算テストのためには具体的な特殊解が必要である。その特殊解を準備した。 5 海で囲まれた島の内陸部の浸透領域については 扱う数理モデルに現れる物理定数の設定について調査中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本科研申請にあたって必要な数学モデルの構築、数値計算法の構成法について調査し準備を行っていたので、当初年度(23年度)から24年度までは予定通りに進んだ。その結果 25年度では 数値計算で見つけられた興味深い結果 即ち 境界条件として与える関数の振幅を一定にした時 "周期を十分短くするとサポート分離が発生しなくなる数値例" に対する数学的考察が重要になった。達成度としての理由は これには時間を多く要したが、結果的にはそのような現象が再現される十分条件を記述することができたからである。 更に "どんなに周期を短くしてもサポートが分離したままの数値例" と "サポート分離現象は有限時間内に分離する" という証明も得られたからである。 一方「階段関数的メッシュ生成法」による数値解の安定性及び収束性には依然として必要とされる評価式が得られないので 数学的証明の困難さがまだある。更に「Interface直接近似法」の安定性・収束性では "下に凸" である初期関数に対しては証明されたが、この "下に凸" の条件を緩和することが依然として残っている。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度(25年度)においては「階段関数的メッシュ生成法」については不十分であったが、「Interface直接近似法」ではほぼ期待通りの数値計算結果が得られた。今後「Interface直接近似法」を用いて「蒸発と拡散を伴う流れに現れる浸透領域の変化」をサポート・ダイナミクスの観点から数値的にアプローチしその現象の解明を目的とする。当該年度までに得られた興味深い2つの結果 即ち 境界条件として与える関数の振幅を一定にした時 "周期を十分短くするとサポート分離が発生しなくなる数値例"と "どんなに周期を短くしてもサポートが分離したままの数値例" についてその解明を進める。 1) "周期を十分短くするとサポート分離が発生しなくなる数値例" を更に探す。その時に与える境界条件の周期関数の振幅とその中心位置を調べる。反対に "どんなに周期を短くしてもサポートが分離したままの数値例" を探し、与える周期関数の振幅とその中心位置を調べる。 2) 25年度に得られた"周期を十分短くするとサポート分離が発生しなくなる数値例"を引き起こす境界条件は Galaktionov-Vazquezの特殊解によって記述されるが 一般的ではない。単に周期が短いだけの境界条件に対してサポート非分離を示す必要がある。これについて考察する。更に "どんなに周期を短くしてもサポートが分離したままの数値例"を引き起こす境界条件を探し 数学的証明を与える。 3) 「Interface直接近似法」を空間2次元に拡張し、空間2次元でのサポート分離の特徴を探す。特に 矩形領域の境界、そのx軸方向には固定値を y軸方向には周期関数を与えた時のサポート分離を調べる。空間1次元と違ったサポートの挙動が期待できる。 4) 海で囲まれた島の内陸部の浸透領域については 当該研究で得られた周期と現実の潮汐の周期との整合性について考察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は 当初から計画していた国際会議「The 10th AIMS Conference on Dynamical Systems,Differential Equations and Applications (Madrid, Spain July 7 - 11, 2014)」での発表の他にチェコ工科大学のBenes教授から「Workshop on Scientific Computing June 12-15, 2014 (Czech)」での講演依頼を1月に受けた。研究成果を深化させるためにこのWorkshopに参加することを決めた。そのための費用を次年度に繰り越して充当することにした。 当該25年度の成果を基にして以下の使用計画に沿って次年度の研究を遂行する。 1) 推進方策で述べた項目1),3)を行うには、科研費で購入したワークステーションを連携研究者 倉前准教授(大阪工大)と共同して活用する。この時 得られる多量な数値データの蓄積のために物品費でハードディスクおよびUSBメモリを購入する。 2) 項目2)を行うには数学的な議論が必要である。そのためには生物、燃焼モデルに現れる進行波解の漸近挙動及び安定性等をテーマとしている国内研究者の知見を必要とする。特に 彼らとの議論のための国内旅費が不可欠である。 3) 得られつつある成果については自由境界問題及び数値解析関連の国際会議や研究集会等で発表し、その評価を受ける予定である。そのための海外旅費が必要となる。4) 推進方策で述べた項目4)については 環境工学分野の研究者との研究打合せを行うための旅費が必要となる。
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Research Products
(4 results)