2012 Fiscal Year Research-status Report
純飛躍型マルコフ過程及びジャンプ拡散過程の確率解析
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23540172
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
上村 稔大 関西大学, システム理工学部, 教授 (30285332)
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Keywords | 飛躍型 Dircihlet 形式 / マルコフ過程 / 保存性 / 再帰性 |
Research Abstract |
交付申請書に記載した本年度の「研究実施計画」が以下のように達成された. 1. 一般の局所コンパクト空間上で定義された飛躍率 j(x,y) をもつ非対称な二次形式が“正則で,下に有界な半Dirichlet 形式”となる条件を与えることに成功した.これにより,対応する Hunt 過程が存在することがわかった.また,j(x,y) がユークリッド空間で,所謂,対称安定過程に対応する飛躍率である場合は,R.Bass氏により得られていたマルコフ過程と一致することを示すことも出来た. 2.飛躍型の対称Dirichlet形式に対して,飛躍率に “shift-invariant”と呼ばれる条件を課すことにより,定義域の一意性問題,いわゆる,同定問題,を解くことに成功した. 3. 飛躍型の対称Dirichlet形式に対して,基礎の測度と飛躍率の増大度に対する条件を課すことにより,保存性と再帰性を示すことに成功した. 上記 1,は福島氏との共同研究において示し,アメリカで出版されている数学雑誌 Aannals of Probability において,2.は R.Schilling 氏との共同研究において示し,京都大学の数理解析研究所発行の数学雑誌 Publications of the Research Institute for Mathematical Sciences において,3.は Masamune 氏と Wang 氏との共同研究において示し,アメリカの数学雑誌 Journal of Functional Analysis においてそれぞれ発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度にも述べたことであるが,飛躍型 Dirichlet 形式の分析に思いの外時間が取られ,ジャンプ拡散過程の Dirichlet 形式の考察に本年度も手が回らなかった.それは,やはり遠くへ飛躍する jump rate,いわゆる,big jump がDirichlet形式,あるいは対応する確率過程の基本的性質に本質的な影響を与えているためである.一方,そのことの考察の副産物として,再帰性と保存性が,基礎の測度と飛躍率の増大度が絡んでいることが発見できたことは良かったと思っている.
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Strategy for Future Research Activity |
ジャンプ拡散過程に対応する Dirichlet 形式の考察を行うことを目的とはするが,一方で達成が若干遅れる原因である,純飛躍型のDirichlet形式の考察を引き続いて行う.いわゆる,big jump rate が対応するDirichlet形式の性質にどの程度まで影響を与えているのか,より詳しい考察を行うことを考えている.その上で,拡散項を加えたジャンプ拡散過程の分析に取りかかる予定にしている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
純飛躍型Dirichlet形式は,“sigular integrals”の範疇とも思えるので,それに関連する図書の購入を予定してる.また,これらの研究を精力的に研究している,ドイツ・ポーランドの研究者とも密接に連絡を取り合い,彼らを招聘したり,ドイツで計画されている国際研究会への参加を通じて研究打ち合わせを行う予定にしている. ところで,繰越金が生じた最大の理由は,2012年度に,所属学科の主任を拝命しており,その業務とが重なることが多く,共同研究を進めている研究者の招聘を断念したことが大きい.
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Research Products
(5 results)