2013 Fiscal Year Research-status Report
逆問題の解の直接的再構成法とその数値的実装に関する研究
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23540173
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
大江 貴司 岡山理科大学, 理学部, 教授 (90258210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池畠 優 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90202910)
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Keywords | 逆問題 / 逆散乱問題 / 逆ソース問題 / 数値解析 / 偏微分方程式 / 応用数学 |
Research Abstract |
次の2つのテーマについて研究を進めた。 (ア)3次元波動方程式において未知の複数の点波源が領域内を移動している場合に対する数値解法の開発 (イ)Helmholtz 方程式により記述される波動場の逆散乱問題に対する囲い込み法の数値的特性に関する研究 まず(ア)については、昨年度提案した直接的数値解法について数値実験の結果をより詳細に吟味するとともに、理論部分の詳細化および計算アルゴリズムの一部に含まれる不安定な数値解法の改良を行った。これらの結果については国際会議 Applied Inverse Problem Conference 2013、および九州大学IMI研究所研究集会Inverse problems for practice, the present and the future において発表した。また、現在論文投稿の準備を進めている。さらに Kohn-Vogelius の汎関数を用いた解法について、数値的実装の研究を行った。 次に(イ)については、理論的に保証されている多角形だけではなく滑らかな境界を持つ介在物の推定可能性について研究した。その結果,滑らかな境界を持つ介在物の場合には形状そのものをとらえることは困難になるが、介在物の位置を推定することは可能であることを確認した。この結果については国際研究集会Waves2013、および日本応用数理学会2013年度年会において発表した。また、介在物が多角形ではあるが囲い込み方向が正則でない場合に対する指示関数の特性について研究した。このような場合に対する支持関数の推定可能性は理論的に保証されていなかった。今回の研究の結果、指示関数の対数微分の挙動は囲い込み方向が正則な場合とは異なり大きく振動するため、支持関数の推定が困難であることがわかった。これらの結果をまとめた論文について、投稿の準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
逆散乱問題に対する囲い込み法を用いた数値解法については、理論的に示されている部分だけではなく、数値実験によらなければ明らかにできなかった部分についていくつかの進展があり、当初の目的を達成しつつつつあるものと考えている。 その一方、波動方程式のソース逆問題に対する数値解法の開発においてはより複雑なソースモデル、およびKohn-Vogelius の汎関数を用いた解法の数値的実装について一部困難が生じており、研究の進展を得ることができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は研究課題の最終年度にあたるため、これまでの研究成果をまとめるとともに、その成果を元に新たな展開を模索する方向で研究を推進したいと考える。波動方程式のソース逆問題の数値解法については、双極子や四重極子モデルのような指向性を持つソースモデルに対する手法の拡張、またKohn-Vogelius の汎関数を用いた解法の数値的実装の研究を進める。また逆散乱問題に対する囲い込み法に基づく数値解法について、滑らかな境界を持つ介在物の詳細な形状情報を得る手法として、これまでの単一入射波だけではなく複数入射波に対する散乱波からの推定法の研究を進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ほぼ予定通りの支出であったが、購入した物品の金額が一部、予定よりも少額で済んだため。 平成26年度の旅費に合わせて使用する計画である。
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