2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23540176
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Research Institution | Oyama National College of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 巌 小山工業高等専門学校, 一般科, 教授 (70154036)
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Keywords | グラフ / ゼータ関数 |
Research Abstract |
先ず、グラフやdigraphの2変数のBartholdi関数を、3変数以上のBartholdi関数に一般化して、その行列式表示を与え、正則被覆グラフや正則被覆digraphについて、その分解公式を求める。そして、弧に重みを付けた重み付きBartholdi関数や、その他のタイプの重み付きBartholdi関数に拡張する。特に、弧に行列の重みを付けた重み付きBartholdi関数を考え、その行列式表示を与える。また、それらをhypergraphに適用して、3変数以上のBartholdi関数や、重み付きBartholdi関数の行列式表示を与える。 Lapidus達が得た、無限グラフのゼータ関数を、無限digraphのBartholdiゼータ関数に拡張する。Winnie Li等が与えたPGLn(F)(Fは非アルキメデス的局所体)のBruhat-Tits buildingのゼータ関数を、Bartholdiゼータ関数に一般化する。さらに、いろいろなグラフゼータを利用して、砂田によるリーマン多様体の類体論等の被覆グラフ版を模索する。 物理と量子グラフとの関連では、quantum graphのscattering matrixに関する行列式の種々の公式の別証明等、物理への応用を込めた、グラフゼータの新しい方向付けを考えたい。また、量子ウォークとの関連ではグラフ上の離散時間量子ウォークの遷移行列の特性多項式やそのスペクトルを通して、新たなグラフゼータを模索したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、グラフと被覆グラフのゼータ関数について、以下の結果を得た。 (1) 2部グラフGのgeneralized Bartholdi L-関数を導入して、その行列式表示を与え、Gのregular coveringのgeneralized Bartholdiゼータ関数を、Gのgeneralized Bartholdi L-関数の積で表示した。論文として、Linear Algebra and its Applicationsに掲載された。 (2) digraph Dについて、arcの一般の重みに対する、weighted Bartholdiゼータ関数とweighted Bartholdi L-関数の行列式表示を与えた。論文として、Electronic Journal of Combinatoricsに掲載された。 (3) 一般Szegedy遷移行列を導入して、その特性多項式を与え、応用として、Grover遷移行列とその正台、Szegedy遷移行列の特性多項式を導き、それらのスペクトルを直接的に、決定した。論文として、Journal of Math-for-Industryに掲載された。 (4) quantum graphの概念である、グラフGの重み付きscattering matrixを下に、digraph Dの新しいweighted Bartholdiゼータ関数とweighted Bartholdi L-関数を定義し、それらの行列式表示を与えた。また、Dのgroup covering Hの新しいweighted Bartholdiゼータ関数の分解公式を導き、Hの新しいweighted Bartholdiゼータ関数を、Dの新しい weighted Bartholdi L-関数の積で表した。論文として、Linear Algebra and its Applicationsに掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の研究では、整数論やquantum graph, quantum walkの知識が必要なため、グラフゼータに絡む整数論、quantum graph, quantum walkや、統計物理に離散数学の絡む専門書を購入したい。グラフゼータとその周辺の研究は、今、数学の中だけでなく、物理の分野と深い、繋がりがあることが判明しつつあり、グラフゼータを含む領域の国際シンポジウムに出席して、最新の情報を手に入れたい。具体的には、 (1) 関数解析の本を読んで、作用素の行列式について勉強し、新たな無限グラフのBartholdiゼータ関数の行列式表示を模索する。 (2) PGLn(F)のBruhat-Tits buildingのゼータ関数の行列式表示を、Bartholdiゼータ関数に一般化する。 (3)正則グラフと半正則2部グラフの重み付きゼータについてセルバーグ型の跡公式を導き、極の偏角の分布を考察する。また、いろいろなグラフゼータを利用して、2次体の整数論や、砂田によるリーマン多様体の類体論等の被覆グラフ版を模索する。 (4)物理との関連では, いろいろなグラフゼータや、Smilanskyの手法、渡辺&福水の手法を用いて、hypergraphのcoveringのBethe free energyのヘッシアンの分解公式、quantum graphのscattering matrixに関する行列式の種々の公式の別証明等、物理への応用を考える。また、量子ウォークや、それに関連する本を読んで、グラフ上の離散時間量子ウォークのいろいろな遷移行列の特性多項式やそのスペクトルを考察し、それらを通して、新たなグラフゼータを模索したい。
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