2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23540179
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
和地 輝仁 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (30337018)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | Capelli恒等式 / 概均質ベクトル空間 / b-関数 |
Research Abstract |
1. b-関数、Capelli恒等式に関する研究成果: 平成23年度は概均質ベクトル空間のb-関数と関わるCapelli恒等式の研究を主に進めた。特に、当年度4月以降、国内外の研究者により、これまでにない種類のCapelli恒等式に類する恒等式が発見されたことがあり、注意を払いながら研究を進めた。成果としては、ある種の可約概均質ベクトル空間のb-関数と関わるCapelli恒等式に対して、そのCapelli恒等式に現れる微分作用素が、リー代数のある最高ウェイト表現の表現作用素として現れることを得た。従来は不明だったこのような表現論的意味付けを得たことは、種々の概均質ベクトル空間に付随するCapelli恒等式と、リー代数との表現の関連を解明する基盤になる成果といえる。2. 対称対の羃零軌道に関する研究成果: b-関数との関連が期待される対称対の羃零軌道についての研究打合せを、主に西山享氏と行った。リー代数の無限次元表現の随伴多様体と対称対の羃零軌道の両者において、「誘導」がちょうど対応することの証明を与え、また対応の様子を深く理解できた。3. 23年度の研究費の使用: 旅費については、日本数学会年会への参加や研究打合せの旅費として使用し、新しい種類のCapelli恒等式の知見を得るなどした。物品として購入したコンピュータは、Capelli恒等式の具体例の計算や、得られた結果の検算などを行い、研究の推進に利用した。また、必要に応じた購入を予定していた図書については、当年度は購入はしなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
病気のため平成23年度5月から6月にかけ入院していたこともあり、平成23年度前半は、すべての出張をとりやめるなど研究活動を中断せざるを得なかったため、研究の進行が遅れた。年度後半は日本数学会年会をはじめとする集会への出席や、研究会での講演など徐々に研究活動を再開し、当初予定の研究ペースを取り戻しつつある。特に、平成24年1月以降は、ある種の可約概均質ベクトル空間に付随するCapelli恒等式の表現論的意味付けを得てセミナーで発表したり、研究打合せを通して対称対の羃零軌道に関する研究成果があがっている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、国内外の研究集会やセミナーなどを含めた研究打合せを通して新しい知見を得ながら研究を進める予定である。参加を予定している研究集会等としては、数理解析研究所研究集会「表現論と非可換調和解析の展望」 (講演)、Nankai Summer School and Workshop (講演)、日本数学会秋季総合分科会および年会、表現論シンポジウムなどがある。平成23年度前半に出張ができなかったため、予算が平成24年度に持ち越されているが、平成24年度は国外出張を含めて集会参加を多めに見込んでおり、持ち越し分は平成24年度予算と合わせて、その旅費として活用する予定である。また、表現論やb-関数に関係する図書も必要に応じて購入し研究に利用する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
旅費予算については、上述した研究集会4件に加え、国内研究者との4回程度の研究打合せを予定している。他研究費からの支出で実施する出張もあるが、当研究費からの支出は概算で850,000円程度を見込んでいる。その他の主な使用計画としては、表現論やb-関数に関係する図書があり、必要に応じて購入し研究に利用する。
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