2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23540179
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
和地 輝仁 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (30337018)
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Keywords | Capelli恒等式 / 概均質ベクトル空間 / b-関数 |
Research Abstract |
1. b-関数、Capelli恒等式に関する研究成果: 平成25年度も,平成23,24年度に引き続き,概均質ベクトル空間のb-関数に関係するCapelli恒等式 (奇数型Capelli恒等式) の研究を中心に行った.前の2年間に結果の出ていた型とは別の型において,奇数型Capelli恒等式が得られた.これは,交代行列の現れる恒等式であり,一般にはCapelli恒等式が複雑な形になったり,証明が困難であったりするものである.しかし,当年度に得られた奇数型Capelli恒等式は,これまで知られているものと同様シンプルな形をしている点は注目すべきである.また,これにより,エルミート対称空間に対応する放物型概均質ベクトル空間に付随する最高ウェイト表現のうち,古典型であるものについては,表現作用素と奇数型Capelli恒等式が深く関係することがわかったことになる.この結果は年度末に得られたこともあり,集会での発表はまだであるが,論文投稿を準備中である. 2. 対称対の冪零軌道に関する研究成果: b-関数との関連が期待される対称対の冪零軌道について,西山享氏と研究打合せを実施し,現在まで得られた結果を他の型に拡張することが困難であることが判明したため,一旦現在までの成果を論文にまとめたものを雑誌に投稿することとなった. 3. 平成25年度の研究費の使用: 旅費については,日本数学会秋季総合分科会,表現論シンポジウム等の研究集会や,関連研究者との研究打合せとして使用した.また,リー代数や組合せ論に関する図書の購入にも使用した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概均質ベクトル空間に付随するCapelli恒等式に関する研究については,着実に成果があがっている.また,対称対の冪零軌道に関しては,現状が結果を整理する頃合だということがわかった.両方の研究について,一定の成果を論文にまとめる段階に入ったため,研究は概ね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り,国内外の研究集会やセミナーなどを含めた研究打合せを通して,新しい知見を得ながら研究を進める予定である.参加を予定している研究集会等としては,数理解析研究所研究集会「表現論と調和解析の新たな進展」,日本数学会秋季総合分科会・年会、表現論シンポジウムなどがある.主な研究打合せとしては,まず,対称対の冪零軌道に関する研究については,西山享氏をはじめとする関連研究者と研究打合せを実施する.次に,概均質ベクトル空間に付随するCapelli恒等式に関する研究については,ワイル群や複素鏡映群の余不変式環についての知見を得るために,ドイツのゲッチンゲン大学を訪問し,同大学のLarry Smith氏主催の研究集会に参加する.
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Research Products
(4 results)