2011 Fiscal Year Research-status Report
ヒルベルト空間・クレイン空間の作用素の数域の境界についての研究とその応用
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23540180
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
中里 博 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (10188922)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 作用素の数域 / ヒルベルト空間 / クレイン空間 / 中心力 |
Research Abstract |
研究の対象は、ヒルベルト空間・クレイン空間における作用素の数域であり、研究の目的は数域の基本的な性質の解明と、情報通信や量子計算の誤り訂正、核磁気共鳴装置の制御などに見出されているその応用を発展のさせるための端緒を与えることである。平成23年度は、特に高階の数域の研究に関して、2011年9月に科学研究費補助金の旅費にて行った台北での、有名な私立大学である東呉大学の簡茂丁Mao-Ting Chien教授との共同研究を基礎に大きな成果をあげることができた。 特に、計画当初、米国の Helton教授による数域に関する50年にわたる予想の肯定的解決を用いた研究の成果は、"Linear Algebra and Its Applications" 誌に掲載予定の論文を含め3論文で発表される。このほか、アルゴリズムに関する論文が1つある。 数域の境界の方程式を求めるアルゴリズムに関しても研究は順調に進んでいる。これらの成果も、論文および学会発表の形で公開している。研究の進展の中で、数域を考えるモデルの一つとして取り上げた中心力の下での質点の運動の軌道の研究は大いに進展した。当初、古典力学に基づく研究であったが、相対性理論による運動の解析が登場するなど、新たで当初予期していなかったような成果もあらわれている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由:研究目的の達成に関して、ヒルベルト空間の作用素の高階数域あるいは数域の境界の方程式を求めるアルゴリズムについての成果を、著名雑誌2誌(Journal of Mathematial Analysis and Applications; Impact Factor 1.174, Linear Algebra and Its Applications; Impact Factor 1.005)に期間に1論文、3論文を掲載または掲載予定にしている。計画していた研究のうち、クレイン空間の作用素の数域の研究は、足踏み状態にあることなど、未達成の部分もある。力学モデルからくる数域の研究成果など、計画時はあまり予期していなかったような成果も一方であがっている。
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Strategy for Future Research Activity |
高階の数域に関する研究ならびに、数域の境界の方程式に関するアルゴリムの開発を引き続き行うとともに、平成23年度は足踏み状態であった、クレイン空間の作用素の数域の研究を、ポルトガルのコインブラ大学所属で、これまで何度か共同研究をおこなっているBebiano, Providencia 両教授のもとを訪れ、足踏み状態の打開を行いたい。台湾の簡教授とは、これまでと同様、共同研究を進めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の科学研究費補助金による研究費の使用計画は、次の通り 国内旅費、外国旅費の合計 27万円 書籍等の物品・消耗品 10万円 謝金 3万円
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Research Products
(9 results)