2011 Fiscal Year Research-status Report
無限回微分可能函数の枠組においてコーシー問題が適切となる双曲型方程式の特徴付け
Project/Area Number |
23540185
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
若林 誠一郎 筑波大学, 数理物質系, 教授 (10015894)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
|
Keywords | 双曲型方程式 / コーシー問題 / 適切性 / 超局所解析 |
Research Abstract |
双曲型作用素に対するコーシー問題がC∞適切になるための必要十分条件を得ることを最終的な目的とし、23年度は、双曲型作用素で主要部の係数が時間変数にのみに依存する場合を考えた。2階の双曲型作用素に対して得られた条件を高階の作用素に如何に一般化するかについて、いくつかの具体例について考察した。得られた条件(予想)は、2階の場合の条件及び主要部が定数係数である場合のC∞適切になるための必要十分条件を拡張・一般化したものになっている。次年度以降、この条件の下でコーシー問題がC∞適切になることを示したいと考えている。この問題に関連して、超局所的な考察を通して、コーシー問題の解の特異性について研究した。解の波面集合(C∞特異性)が自明な場合を除いて、broken null bicharacteristcs(零陪特性帯を2重特性点で分岐させてつないだもの)に沿って伝播することを示した。これは、C∞特異性の伝播は以前に私の定義した「一般化されたハミルトン流」に沿って伝播するという予想が、この場合にも正しいことを示している。またこの研究において、異なる計量・重みを持つ二つの擬微分作用素の積についての従来の結果を少し拡張する必要があり、Hormander の考察を我々の必要とする場合に適用した。単なるエクササイズではあるが、結果は有用であると考える(結果・証明はHP参照)。2階双曲型作用に対する超局所的考察を通して、2重特性的である高階作用素に対するコーシー問題のC∞適切性示すことができると考えているが、そのための道具立てを準備することができた。2階を高階にするときに別の部分で問題があり、現時点では少し仮定を強くする必要があるが、我々の条件がC∞適切性の十分条件であることを示すことができる。これについても次年度以降に研究したいと考えている
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
23年度は研究以外の仕事が増えたせいもあり、研究に集中できないこともあり、また擬微分作用素の積についての結果を得るために(単なるエクササイズと記したが)、かなりの時間を必要とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた国際研究集会に出席できず、次年度使用額に残額が生じた。次年度以降は研究の遅れを取り戻し、研究実施計画に従って研究を進めていく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今までに得られた結果を国内外の研究集会で発表し、この分野の研究者との研究交流を図りたいと考えている。そのための旅費に多くの予算を使用する予定である。また研究費で研究資料、研究用ソフト及び文具等の消耗品を購入する。次年度使用額を加えた研究費により、積極的に研究集会等に参加できるようになり、研究交流を進め、研究を前進させることができると考える。
|