2012 Fiscal Year Research-status Report
無限回微分可能函数の枠組においてコーシー問題が適切となる双曲型方程式の特徴付け
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23540185
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
若林 誠一郎 筑波大学, 数理物質系, 教授 (10015894)
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Keywords | 双曲型方程式 / コーシー問題 / 適切性 / 超局所解析 |
Research Abstract |
双曲型作用素に対するコーシー問題がC∞適切になるための必要十分条件を得ることを最終的な目的とし、24年度は、前年度に引き続き、双曲型作用素で主要部の係数が時間変数のみに依存する場合に、超局所的な考察を通して、コーシー問題の解の特異性について研究し、研究を完成させた。結果を論文としてまとめて、学術雑誌に投稿した。得られた結果は、解の波面集合(C∞特異性)が自明な場合を除いて、broken null bicharacteristcs(零陪特性帯を2重特性点で分岐させてつないだもの)に沿って伝播するというもので、これは、C∞特異性の伝播は以前に私が定義した「一般化されたハミルトン流」に沿って伝播するという私の予想が、この場合にも正しいことを示すものである。 主要部の係数が時間変数のみに依存する2階の双曲型作用素に対して得られた条件を高階の作用素に如何に一般化するかについて考察し、現時点では3階の微分作用素で低階項がある意味で消えている場合に限って、中間的な結果を得た。これは、sub principal symbol、sub sub principal symbol と関係があり、問題に応じて sub sub principal symbol を如何に定義すべきかを示す一例になっている。 次年度以降は、主要部の係数が時間変数にのみに依存する2重特性的である高階双曲型作用素に対するコーシー問題のC∞適切性について考察し、また3階の作用素に対しては、今年度の研究を発展させることにより、必要十分に近い形での結果を得ることを目指す。さらに主要部の係数が時間変数にのみに依存する高階の双曲型作用素に対するコーシー問題のC∞適切性について、どのような条件が必要条件となり得るかを込めて研究したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の進展のための手掛かりが得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた結果を国内外の学会で発表し、分野の研究者と積極的に交流を図り研究を推進させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度からの繰越金があり、今年度の繰越金は316,686円となるが、その中から24年度の3月分の旅費166,236円が差し引かれるので、実質的には前年度の繰越金の約半額を次年度に繰り越すこととなる。 今までに得られた結果を国内外の研究集会で発表し、この分野の研究者との研究交流を図るための旅費に多くの予算を使用する予定である。また研究費で研究資料、研究用ソフト及び文具等の消耗品を購入する。次年度使用額を加えた研究費により、積極的に研究集会等に参加できるようになり、研究交流を進め、研究を前進させることができると考える。
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