2011 Fiscal Year Research-status Report
経路積分的考察による量子力学のプロパゲイターに係わる研究
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23540191
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
一瀬 孝 金沢大学, その他部局等, 名誉教授 (20024044)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 関数方程式論 / 量子力学 / 経路積分 / プロパゲイター / グリーン関数 / 相対論的シュレーディンガー作用素 / レヴィ過程 / ファインマン・カッツ公式 |
Research Abstract |
本研究課題の初年度である。交付申請書に記載の「ゲージ変換共変な相対論的シュレーディンガー半群の経路積分表示に関する研究」について次の3つの成果を得た。1. 一瀬は,廣島文生(九大数理),József Lőrinczi (Loughborough大, 英)との共同研究によって,ラプラス作用素のベルンシュタイン関数を経て与えられるレヴィ過程の生成作用素達の半群に対する虚数時間(レヴィ過程測度による)経路積分表示の問題の研究を一先ず完成。これらの作用素達はスカラー・ベクトル両ポテンシャル,また,スピンを持つ相対論的シュレーディンガー作用素を含む。レヴィ過程をブラウン運動からとらえるBochnerの従属操作即ち時間変更法で行った。論文は Rev. Math. Phys. 誌に受理。2.一瀬は,磁場付き相対論的古典的ハミルトニアン表象に対する3つの相対論的量子化シュレーディンガー作用素に対する虚数時間経路積分表示の問題を考察し違いを明らかにした。1つ目は一瀬・田村[Commun.Math.Phys.1986]によるワイル量子化シュレーディンガー作用素であり,2つ目はIftimie-Mantoiu-Purice [Publ. RIMS Kyoto Univ. 2007] にて考案されたもの,3つ目は非相対論的シュレーディンガー作用素の1/2乗を経て定義された上記1.でも考察されたもの。本成果は,2011年9月ドイツのゴスラーに於ける国際会議「数理物理学,スペクトル理論及び確率解析」を始め,同9月仏エックス・マルセイユ大学II 理論物理学センター,独ゲッティゲン大学,その他で招待講演を行った。論文を投稿中である。3. 一瀬は,斉藤義実(Alabama大,米)と共同研究を続け,スカラー値関数の場合「改良Sobolev不等式」をベクトル値関数の場合に拡張する研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
然るべき成果も得たと思う。
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Strategy for Future Research Activity |
研究費の大部分は,研究課題に係わる研究テーマについて,主に代表者と共同研究者間の研究連絡,研究打ち合わせ旅費,また,代表者の国の内外の関連分野の研究集会,国際会議等に出かけ,研究成果発表,資料・情報収集するための旅費として使用。研究テーマは次である: 1. ベクトル値改良Sobolev不等式,2. 作用素ノルム指数積公式の収束誤差評価の改良,3. スペクトル・ゼータ関数,4. 相対論的シュレーディンガー半群の経路積分, 5. 繰り込み群的方法によるシュレーディンガー作用素のスペクトルギャップを求める研究
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国の内外での内の研究集会に出かけるための旅費。特に,2012年6月作用素ノルム指数積公式について共同研究を行うため,独ベルリンのワイエルシュトラウス応用解析・確率解析研究所を訪ね,8月数理物理学の最新の動向の情報収集をするため、デンマークのアールボルク(Aalborg)で開催される第17回国際数理物理学会議(M&Φ)に出席する予定。
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