2011 Fiscal Year Research-status Report
群のユニタリ表現の分解と分岐グラフ上の調和関数の研究
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23540197
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
洞 彰人 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (10212200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊師 英之 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 准教授 (00326068)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 関数解析 / 調和解析 / 確率論 / 表現論 |
Research Abstract |
巨大な群のユニタリ表現の標準的な因子分解(中心分解)および既約分解をできる限り具体的に記述するという群の表現の基本的な問題に取り組むこと、すなわち、分解の素子となる因子表現および既約表現を良いパラメータづけによって完全に分類し、分解の法則を定める測度を具体的に求めることが、本研究の目的である。われわれが扱う巨大な群においては、これらの分類パラメータ全体は、一般に無限次元の空間になる。また、分解の法則の全貌を把握するためには、分岐グラフの経路の全体のなす空間を考慮せねばならない。このような大きな空間にひろがる測度を研究するために、そして因子表現や既約表現の適切なパラメータによる特徴づけのためにも、確率論の方法がたいへん有効である。これは、一貫して本研究の全体に関わる観点である。本年度は、無限対称群や無限複素鏡映群を含むクラスであるコンパクト群の無限環積を主たる対象とし、その上の調和解析の展開にまつわる研究を行った。具体的には、これらの群の指標や分岐グラフ上の調和関数およびマルチン境界について、詳しい性質を調べた。分解の素子となる対象、すなわち指標や極小調和関数を十分具体的な形で書き下すという点では、おおよそ満足の行く結果を得た。また、分解の法則を定める確率測度の記述においても、古典的なマルチン積分表示の長所を継承する形の結果を得た。これらの研究成果は、研究代表者と研究協力者を含むチームによる共著論文にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初に予定していた方向に研究を踏み出し、順風満帆とはいかないまでも、着実に研究を進めた。研究成果については、論文の形では未公表であるが、口頭発表はいくつかの場で行った。
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Strategy for Future Research Activity |
巨大な群のユニタリ表現の因子分解および既約分解をできる限り具体的に求めるという基本的な問題に取り組むことが本研究の目的であるので、この方面の新たな研究方向を示すモデルの具体化を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度も、小規模な研究会・セミナーを中心とした研究情報の交換の場を機動的に設けるとともに、国内外の研究集会への参加や研究発表等を通して、活発な研究打合せと研究情報の収集を行う。平成23年度は、諸々の事情により、予定していた外国人研究者の招聘が必ずしもうまくいかなかったので、この点は次年度に果たしたい。
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Research Products
(6 results)