2014 Fiscal Year Research-status Report
正則変動関数論を用いる非線形微分方程式の解の精密な漸近解析:振動理論の表側と裏側
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23540218
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
谷川 智幸 熊本大学, 教育学部, 准教授 (10332008)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 振動理論 / 非振動解の漸近挙動 / 正則変動関数論 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題「正則変動関数論を用いる非線形微分方程式の解の精密な漸近解析:振動理論の表側と裏側」を遂行するために, 非線形 Sturm-Liouville 微分作用素あるいは中立型微分作用素を主要部とする様々な微分方程式や方程式系に対して, (a) 非線形微分方程式の振動性の特徴付け, (b)非振動型の微分方程式に非摂動項を付加したときの影響, (c) 非振動性の解析における Karamata 関数(代表的な関数: 緩変動関数, 正則変動関数など) の活用, (d) 関数方程式と Karamata 関数との関係, という4つの課題に焦点を当てた研究を行った. [研究実施の具体的な内容] [1] 情報収集: 平成26年度は, 3階と4階の非線形微分方程式(Thomas-Fermi 型, Emden-Fowler型)及び方程式系に対して既に知られている先行研究の結果を体系的に纏め, 証明に利用されている数学的手法及び技術を分類し可能な限り情報を得る作業を行った. 情報の収集にはインターネット(Math.Sci.Net., Zentralblatt MATH等)と他大学の図書館を利用した.[2] 研究成果報告と論文策定: 研究経過をほぼ定期的に振動理論の世界的権威で今なお世界の情報を握っている草野尚教授(広島大学名誉教授, 福岡大学)に報告して批判と助言を求めた. また, 今後の研究に関する計画及び論文策定も行った.[3] 平成26年11月にセルビアの Manojlovic教授を招聘し, 研究打ち合わせ及び論文策定を行った. [4] 研究成果発表: (1) 平成26年9月に広島大学において開催された「日本数学会秋季総合分科会」, (2) 平成27年2月に岡山理科大学において開催された「第7回半田山微分方程式セミナー」, (3) 同年3月に愛媛大学において開催された「常微分方程式ワークショップ」, (4) 同年3月に明治大学において開催された「日本数学会年会」, などにおいて得られた研究成果を発表し好評を博した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
[主な研究成果] (1) J. Jaros, T. Kusano and T. Tanigawa, Asymptotic analysis of positive solutions of third order nonlinear differential equations. Hiroshima Mathematical Journal, 44 (2014), no. 1, 1 -- 34. (2) J. Jaros, T. Kusano and T. Tanigawa, Asymptotic analysis of positive decreasing solutions of a class of systems of second order nonlinear differential equations in the framework of regular variation. The Australian Journal of Mathematical Analysis and Applications, 12 (2015), no. 1, 1 -- 16. (3) Tomoyuki Tanigawa, Existence and asymptotic behavior of strongly monotone solutions of nonlinear differential equations. Differential Equations and Applications, 7 (2015), no. 1, 79 -- 91. (4) J. Manojlovic and T. Tanigawa, Regularly varying solutions of half-linear differential equations with retarded and advanced arguments. Mathematica Slovaca(印刷中). 上記の通りの研究成果を求めている. これらの研究成果を各研究集会において発表し, 他の研究者から助言と批判を受けている. 以上のことから研究は概ね順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年5月と7月に開催される国際研究集会「International Conference on Differential & Difference Equations and Applications 2015」及び「Equadiff2015」さらに, 国内で開催される研究集会「○○大学における微分方程式セミナー」, 「日本数学会」において研究成果を発表し他の研究者から様々な助言と批判を賜り今後の研究の進展に拍車を掛けたいと願っている.
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Causes of Carryover |
今年度も海外研究集会において発表しようと計画をしていたが, 校務のために参加を断念せざるを得なくなり, そのために次年度の使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は, 海外研究集会において2回ほど発表する予定である. 次年度の使用額は, その費用に充てたいと考えている.
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Research Products
(8 results)