2011 Fiscal Year Research-status Report
自己共役作用素の特異ランク1摂動に関する散乱逆問題
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23540219
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
吉冨 和志 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (40304729)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 散乱逆問題 / 特異ランク1摂動 / 点相互作用 / 国際研究者交流 / バルセロナ(スペイン) |
Research Abstract |
自己共役作用素の特異ランク1摂動に関する散乱逆問題について考察する。散乱理論における最も重要な課題は散乱行列の特徴付けである。当該研究ではスペクトルが単純かつ絶対連続な自己共役作用素の特異ランク1摂動の族について、対応する散乱行列の特徴付けを得た。 次に、当該研究成果の学術的な特色・独創性・重要性とその意義について述べる。冒頭で述べたように、散乱理論における最も重要な課題は散乱行列の特徴付けである。この問題はその重要性とは裏腹に、その難しさの為に、現在までに得られているのはDeiftとTrubowitzによる結果のみである。当該研究はDeiftとTrubowitzが扱った摂動に比べて非常に強い特異性を持つ摂動を対象としているという特色がある。また、当該研究は点相互作用と密接に関連している。点相互作用に関する散乱逆問題については現在までにいくつかの結果が得られているが、当該研究のように一般的かつ抽象的な枠組みでは散乱逆問題は全く扱われて来なかった。これらの点から、当該研究成果は非常に強い独創性を持つ。当該研究成果の証明では上半平面上のある正則関数の境界値の精密な解析が本質的役割を果たす。具体的には、虚部が非負である上半平面上の正則関数に対するNevanlinnaの表現定理およびStieltjesの反転公式、複素ポアソン積分の指数関数の可積分性についてのZygmundの定理、Hardy空間の性質等を組み合わせることにより結果を得た。当該研究成果は、散乱理論の最重要課題の1つを解いたということと、散乱逆問題において新たな複素関数論的手法を作り出したという、2つの重要な意義を持つ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究の主要目的である、自己共役作用素の特異ランク1摂動の散乱位相シフトの特徴付けが得られた為。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度は研究の途中で得られた結果の口頭発表よりも、情報収集と当該研究課題の考察と研究成果取りまとめに集中した為、次年度に使用する研究費が生じた。 平成24年度は研究成果をさらに深化させる為に研究成果の口頭発表を行うと同時に、当該研究に関連した研究結果についての情報収集を継続的に行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は研究の発展的的段階に用いる.その為に当該研究に関連した単行本・学術雑誌・研究集会報告集の購入を行う.本年度は散乱逆問題に関連した単行本・学術雑誌・研究集会報告集を20冊購入し当該研究に関連した研究結果についての情報収集を行うので,1冊あたりの購入費用を2万円とすると合計40万円が必要である.また,平成24年度は,国内のセミナーや研究集会において研究発表及び情報収集を6回行うので,1回あたりの旅費を7万円とすると国内旅費として合計42万円が計上される.また,国外の研究集会に3回参加し,研究発表及び情報収集を行うので,1回あたりの旅費を30万円とすると,国外旅費として合計90万円が必要である.また,文房具類を3万円分購入するので,文房具の購入費として3万円を計上する.
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Research Products
(2 results)