2012 Fiscal Year Research-status Report
自己共役作用素の特異ランク1摂動に関する散乱逆問題
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23540219
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
吉冨 和志 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (40304729)
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Keywords | 自己共役作用素 / 特異摂動 / 散乱逆問題 |
Research Abstract |
散乱理論において最も重要な問題の1つとして散乱行列の特徴付けが挙げられる。当該研究では、スペクトルが単純かつ絶対連続な自己共役作用素の特異ランク1摂動の族について、対応する散乱行列の特徴付けを得た。また、得られた結果を学術雑誌において発表した (K. Yoshitomi, Inverse scattering problems for singular rank-one perturbations of a selfadjoint operator, Asymptotic Analysis 80 (2012), 213-221)。ここで、研究の背景と得られた結果の意義について述べる。散乱行列の特徴付けに関する重要な仕事として1979年のP. DeiftとE. Trubowitzによる結果が挙げられる。彼彼らはポテンシャルが重み付きL1空間に属する、1次元Schrödinger作用素の散乱行列の特徴付けを与えた。当該研究は抽象的な枠組みで行っており、得られた結果はより特異性の強いポテンシャルに従う1次元Schrödinger作用素の散乱行列の特徴付けを含む。また近年、強い特異性をもつポテンシャルに従うSchrödinger作用素の研究が盛んに行われている。そのような典型例として点相互作用が挙げられる。当該研究は点相互作用(特にδ'型点相互作用)と非常に密接に関係している。また、結果の証明で用いた手法は複素関数論的である。この意味で、得られた結果は学際的であると言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の目的である散乱行列の特徴付けが得られた。また、得られた結果を取りまとめ学術雑誌において発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の推進を協力に進める為に、得られた結果を国内外の研究集会において発表し、参加者と議論を行い、当該研究に還元させる。さらに、研究集会への参加と図書の購入により当該研究と関連した研究結果の情報収集を行い、当該研究に還元させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は当初の計画以上に進展が得られたので、情報収集に必要な図書の購入が予定よりも少なくなった。その為、平成25年度への繰り越しが生じた。次に、次年度の研究費の使用計画について述べる。来年度は国外の研究集会に2回参加し、研究成果の発表および情報収集を行うので、1回あたりの旅費を35万円とすると、国外旅費として70万円が計上される。また、国内の研究集会に6回参加し情報収集を行うので、1回あたりの旅費を7万円とすると、国内旅費として42万円が計上される。また、情報収集の為に図書を14冊購入する。1冊の価格を2万円とすると、28万円が計上される。また、研究に必要な文房具の購入を行う。
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Research Products
(2 results)