2011 Fiscal Year Research-status Report
非コンパクトな変分構造に付随する放物型・楕円型方程式の研究
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23540232
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
石渡 通徳 福島大学, 共生システム理工学類, 准教授 (30350458)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 非線型解析 / 臨界問題 / 半線型放物型方程式 / コンパクト性の破れ / 爆発解析 |
Research Abstract |
半線型放物型方程式は、多くの社会現象・自然現象の数理モデルとして典型的に現れるため、方程式に内蔵される数理の探求、特に解の時間発展に伴う漸近挙動の解析は理論面のみならず応用的側面からも重要である。特に系の安全な制御の観点からは、「爆発」などの特異な現象について、その数理的メカニズムを探ることは重要であるが、これまでの爆発現象の研究は個々の方程式に応じた解析がなされてきているだけで、数学的概念の観点からどのように爆発現象が分類されるのか、またその概念を用いて爆発現象の詳細がどのように解析されるのかは余りわかっていなかった。特に既存の理論は解軌道のコンパクト性を仮定するが、臨界指数をもつ放物型方程式にしばしば見られる無限時間爆発解についてはこの仮定が成立しない。このため、無限時間爆発解と有限時間爆発解の相違についてはほとんどわかっていなかった。また劣臨界指数を持つ場合でも、領域が非有界の場合には解軌道のアプリオリなコンパクト性は成立しないため、解の詳細な挙動はわかっていない。本研究は爆発現象を「解軌道のコンパクト性の破れ」の観点から解析し、以下の結果を得た。臨界指数をもつ半線型放物型方程式については、非負のプロファイルをもつ初期値関数から出発した解の挙動は、時間大域的に存在ゼロに収束するか、有限時間で爆発するか、もしくは閾値的挙動をすることが分かった。閾値解の挙動は、時間大域的に存在し type II レートでゼロ解に収束するか、定常解に収束するか、type II レートで有限時間爆発するかのいずれかである。領域が非有界の場合の劣臨界指数をもつ半線型放物型方程式の解挙動については、空間が半直線の場合に、無限遠方に重心が逃げ去る疑進行波解が存在することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨界指数をもつ半線型放物型方程式については、非負のプロファイルをもつ初期値関数から出発した解の挙動について、当初目論んでいた閾値的挙動をする解の存在が示せた。またその挙動は、時間大域的に存在し type II レートでゼロ解に収束するか、定常解に収束するか、type II レートで有限時間爆発するかのいずれかであることも分かった。これは臨界ソボレフ指数を持つ半線型放物型方程式に見られる凝集解の解析について、当初の計画で初年度に予定していたことをおおむね達成できたことを意味する。領域が非有界の場合の劣臨界指数をもつ半線型放物型方程式の解挙動については、空間が半直線の場合に、無限遠方に重心が逃げ去る疑進行波解が存在することが分かった。これは非有界領域上で定義された劣臨界ソボレフ指数を持つ半線型放物型方程式に見られる凝集解の解析について当初の計画で初年度に予定していたことをおおむね達成できたことを意味する。
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Strategy for Future Research Activity |
臨界指数をもつ半線型放物型方程式については、閾値解のエネルギー量子化現象が起こることが期待される。これを、前方自己相似変換したのちの方程式に対して爆発解析と力学系の理論を併用することで示す。また空間全領域上で定義された臨界指数をもつ半線型放物型方程式について、接合漸近解析を用いて解の凝集のレートを計算する。さらに放物型方程式の族に対する爆発解析を行う準備として、幾何学的変分問題に付随する熱流における単調性理論をもとに、予備的考察を試みる。領域が非有界の場合の劣臨界指数をもつ半線型放物型方程式の解挙動については、空間が半直線の場合に、無限遠方に重心が逃げ去る疑進行波解が存在することが分かったが、この解の詳細な挙動を Lyapunov-Schmidt 逓減法を用いて示す。特に重心の空間無限遠への逃げ去りレート、漸近プロファイルへの剰余項の減衰レートを明らかにする。さらに詳細な挙動を解析するため、非有界領域での Sobolev の不等式を、剰余項つきに拡張し、これを用いて基底状態エネルギーへ漸近する逃げ去り解の詳細な挙動を解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用する予定の研究費(「収支状況報告書」の「次年度使用額」の合計欄が0円以外の場合)は存在しない。前年度に引き続き、研究に必要な文献の調達費、研究連絡・発表に必要な旅費として使用する予定である。
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Research Products
(5 results)