2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23540241
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
片山 聡一郎 和歌山大学, 教育学部, 教授 (70283942)
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Keywords | 波動方程式 / 非線形 / 零条件 / 大域解 / 漸近挙動 / 弱零条件 |
Research Abstract |
最終年度は, 空間2次元で2次の非線形項を持つような半線形波動方程式系を考察し, 小さな初期値に対して大域解が存在するための十分条件, および大域解のエネルギーが減衰するための十分条件を得た(大阪大学の松村昭孝氏と砂川秀明氏との共同研究; 投稿中). この大域解存在の条件は, 2次の項に零条件(null condition)を, 3次の項には零条件よりも弱い条件を課すというものである. したがって, 半線形の場合に限定すれば, 3次の項にも零条件を課す Alinhac による結果の拡張といえる. また2次の項がついた点と, 連立系である点が前年度に得られていた結果からの改良点である. 関連して空間1次元における同様のエネルギー減衰をある種の半線形シュレディンガー方程式系に対して示した(延辺大学の李春花氏と大阪大学の砂川秀明氏との共同研究). また非線形シュレディンガー方程式系に対して, 波動方程式の零条件(null condition)に相当するような大域解存在のための十分条件を得た(大阪大学の池田正弘氏と砂川秀明氏との共同研究). 研究機関全体を通じて, 得られた結果を総括すると以下のようになる. 非線形波動方程式系に対しては, 小さな初期値に対して大域解を持つための十分条件としては Klainerman らによる零条件が有名である. また零条件のもとでは解は自由解に漸近する. 本研究においては, いくつかの場合に零条件よりも弱い条件の下で大域解の存在を示した. またこれらの条件の下では大域解は必ずしも自由解には近づかず, 様々な漸近挙動をもつことを明らかにした. 関連して(双曲型ではないが)シュレディンガー方程式系に対しても同様の考察を行った.
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Research Products
(7 results)