2011 Fiscal Year Research-status Report
非線形放物型偏微分方程式の解の特異性と定常問題の解構造
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23540244
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
内藤 雄基 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (10231458)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶木屋 龍治 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10183261)
石井 克幸 神戸大学, 海事科学研究科(研究院), 准教授 (40232227)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 定常問題 / 非線形 / 解構造 / Sobolev 臨界 / 固有値問題 / 解の多重性 |
Research Abstract |
非線形問題においては、初期値や方程式に含まれるパラメータをわずかに変えるだけで解の挙動や性質が劇的に変化する現象が多く知られている。そのような特異な現象は、定常問題の特殊な解構造により引き起こされ得ることが知られている。本研究では、非線形放物型偏微分方程式に対して、解の挙動と定常問題の解構造との関連性について考察を行う。とくに今年度は定常問題の解構造について重点的に研究を行った。Sobolev 臨界指数増大度の非線形項を含む非同次半線形楕円型偏微分方程式の解の存在・非存在および解の多重性について考察を行い、空間次元により解構造が変化することを明らかにした。分岐理論を用いて正値最小解を構成し、それらの線形化方程式の固有値問題を考察することにより変分的手法で第2正値解を求めることができた。これらの考察を通して、有界領域において方程式が線形項を伴う場合、第2正値解の存在・非存在に関して空間次元3,4,5の場合と6以上の場合で状況が大きく異なることを示すことができた。 ポテンシャル項にパラメータを伴う2階線形常微分方程式に対して固有値の状況に基づく方程式の分類を行った。ポテンシャルが臨界と呼ばれるクラスに属する2階線形微分方程式に対して、加算無限個の固有値が現れる場合と高々有限個の固有値が現れる場合、固有値が現れない場合があることを示し、それぞれの場合が起こるための十分条件を与えた。さらにこれらの結果を楕円型偏微分方程式の特異固有値問題に適用し、有界な加算無限個の固有値が現れるための十分条件を与えることができた。p-Laplace 作用素をもつ偏微分方程式の特異境界近傍における球対称振動解の漸近挙動について考察を行い、球対称振動解が境界近傍で有限長および無限長であるための判定条件が得られた。とくに、それらが空間1次元の場合の判定条件と同一であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨界指数を含む非線形項をもつ定常問題の解構造を明らかにできたこと、および線形問題の方程式の分類に成功したことにより、定常問題に対する難解と思われる問題をいくつか解決することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
Fujita 型と呼ばれる非線形放物型偏微分方程式において、自己相似解の構造およびそれらの役割についてまとめるとともに、臨界自己相似解に対する安定性・不安定性に関する問題について取り組む。とくに線形化定常問題に対する比較定理を確立するとともに、これらの問題への適用を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度はわずかながらの残額があるが、研究費の使用は、ほぼ計画通りであった。来年度も研究分担者および研究連携者と連絡を取り合う。また、本研究の内容をテーマにしたセミナーや研究集会を開催し、関係する分野で活躍する研究者との交流を図る。
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