2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23540245
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Research Institution | Tsuda College |
Principal Investigator |
中屋敷 厚 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (10237456)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | リーマンの特異点定理 / 高種数シグマ関数 / テータ関数の展開 / モジュラー不変 / 国際研究者交流(ロシア、イギリス、カナダ) |
Outline of Annual Research Achievements |
高種数代数曲線のテータ関数の満たす差分方程式である、多変数型の加法定理の証明を目指して研究を行った。そのために、種々の観点からテータ関数の拡張とみなすことが可能であるソリトン方程式の可積分階層(KP階層)のタウ関数を用いてテータ関数の展開について調べた。その結果、テータ関数の2種類の展開についての結果と、その応用として古典的なリーマンの特異点定理の精密化および拡張があられた。1つ目の展開はテータ関数のテータ因子の任意の点におけるテイラー展開である。この場合展開の初期項がテータ因子上の点に対応する平坦直線束のギャップ列から定まるシューア関数となることを証明した。2つ目の展開は、テータ関数をk点のアーベル・ヤコビ写像の像の上の関数と見た時、その中の変数の一つに関して展開するという展開である。kが曲線の種数以下である場合が興味のある場合であるが、その場合は、展開の初期項が、テータ関数の具体的な微分で書けることを証明した。またこのテータ関数の微分を同じように展開するとさらに同じような微分で展開が記述されることをkが1になるまですべて証明した。この結果を証明するのに、テータ関数の微分に関する消滅定理と、非消滅定理を確立した。この結果は、テータ関数の零点の重複度という解析的量を、代数曲線の線形系の次元という幾何学的量で表す古典的なリーマンの特異点定理の拡張および精密化になっていることが分かった。さらに、この零にならないテータ関数の微分を用いて、高種数シグマ関数を正規化すると、シグマ関数はシンプレクティック群の作用で不変になること(モジュラー不変性)を証明した。先行研究で、別な正規化定数を用いると、シグマ関数は1のべき根の不定性を除いてモジュラー不変になることが示されていたが、本研究はそれを新しい観点から改良したものと言うことが出来る。以上の結果は加法定理の研究に役に立つと期待される。
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Research Products
(4 results)