2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23540249
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
藤原 俊朗 北里大学, 一般教育部, 教授 (00173493)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 三体問題 / Saari予想 / 8の字解 |
Research Abstract |
Saari予想について:等質量で平面運動する三体問題の場合について,1)ポテンシャルが粒子間の距離の自乗に反比例する場合と,2)ニュートンポテンシャルの場合(ポテンシャルが距離に反比例する場合)の両方について,証明が完成した.それぞれについて論文を書いたが,1)については既に出版されている.2)については投稿しレフリーからの返信待ちである.Saari予想とは,「力学系の多体問題においてポテンシャルと慣性モーメントから作られた無次元の量μが一定な運動は,形を変えない運動である」というものである.形を変えずに系全体の大きさは変わっても良いし,回転しても良い.三体問題の場合には,オイラー解,ラグランジュ解がこれにあたる.まず我々は,他の研究者達にならって,扱っている力学系を並進運動,回転,サイズの運動,そして形の運動に分けた.三体問題の場合は,形の運動の自由度は2である.その上で,Saari予想の仮定を満たす運動が運動方程式と両立する為の必要条件を書き下した.こうして,自由度2の運動に対して,条件が2つ(μが一定と必要条件)得られたが,それを詳しく調べると,形が変化し得ないとの結論を得る.すわなちSaari予想が証明できた.Saari予想は,形の運動に対する研究をうながし,形の運動を記述する為の良い変数を見つけることをうながすものであるが,その流れに沿って我々の研究も次第に深化してきた.我々の研究の中でも,その時々において良い変数を見つけることができた.8の字解の研究について:ポテンシャルが粒子間の距離の自乗に反比例する場合の8の字解は,形の運動として記述できる.上記の研究で,形の運動を記述する良い変数が見つかったので,それを使ってラグランジュアンを書き下し運動方程式を得た.しかし,その解の性質の研究はこれからである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Saari予想については,等質量三体平面運動の場合について順調に研究が進んでいる.すでに論文を2つ書き,そのうち一つは出版されており,もう一つはレフリーからの返事待ちである.この2つの論文で,形の運動についての理解がかなり進んだので,それを活かしてSaari予想の証明範囲のさらなる拡張,および三体8の字解の研究のための有力な足がかりが得られた.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,Saari予想の証明については二つの拡張が考えられる.一つは等質量のまま一般の斉次ポテンシャルの場合への拡張,もう一つは三体がそれぞれ違う質量を持つ一般の質量の場合への拡張である.現在,まずは等質量のまま斉次ポテンシャルへの拡張を目指して研究中である.また三体8の字解の研究については,ポテンシャルが距離の自乗に反比例する場合については,そのラグランジュアンや運動方程式が得られているので,それをもとに解の性質の研究を行う計画である.これらの研究については,国内外の研究者と協力しながら研究を進める計画である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究に必要なソフトウェアや書籍を購入する.Saari予想についての一連の成果を国際会議において発表する旅費として使う.また,冬にはカナダで研究会が計画されているので,そこでの発表と研究者仲間とのディスカッションの為に出席する.さらには,いまだ開催地および開催時期は未定であるが,研究仲間と集中してディスカッションする機会を設けるつもりであるので,その為の旅費および滞在費として用いる.
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