2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23540249
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
藤原 俊朗 北里大学, 一般教育部, 教授 (00173493)
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Keywords | Saari予想 / 三体問題 / 力学系 / 質量 |
Research Abstract |
昨年度キャンセルした学会の代わりに,2013年8月始めにメキシコで開催された学会で成果を発表した.等質量三体問題に対するSaari予想の証明である.Saari予想とは力学系の多体問題において,ポテンシャルと慣性モーメントから作られたサイズ不変な特別な量が一定な運動は形を変えない運動しか無いという予想である.我々はこの運動が運動方程式と矛盾しないための必要条件を見いだし,形を変える運動はこの必要条件を満たさないことを示した.その際,等質量の系は粒子の入れ替えに対して不変なので,その結果,必要条件が扱っている変数の対称式であることを利用した. 今年度はこれを拡張して,一般の質量の場合のSaari予想に取り組み,2013年8月末にカナダで開かれた学会で現状を報告した.この時点までに得られた結果は,1)必要条件を幾何学的な形式で書き下すと,質量依存性は計量テンソルとポテンシャルの中にだけ現れる,2)しかしながら,証明の最終段階では,質量依存性のために上記の対称性が失われるので,証明はきわめて困難である,3)最後は計算機に頼って力づくで行うしかないかもしれない.というものであった. 最後の段階を突破するために上記のメキシコとカナダの学会において研究者たちとディスカッションを重ねたが良い方法は見いだせなかった.そのような状況からぬけだせないまま2013年12月に台湾で開催された研究会に出席した.この出張は,夜に台湾着,翌日に発表,次の日に帰国という慌ただしいものであったが,台湾に着いた日の深夜に,最後の難関を突破するアイデアを思いつくことができた.それに基づいて証明ができあがり,現在,誤りが無いかチェックしているところである.今年度中に論文を書き上げて出版する計画である.このようにして,Saari予想の証明については当初計画した通りに完成した. 8の字解の研究について,進展は無かった.
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