2011 Fiscal Year Research-status Report
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23540253
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
西田 孝明 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70026110)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 大域的解析 / 非線形偏微分方程式系 / 力学系 / 熱対流問題 / 計算機援用解析 |
Research Abstract |
作用・角変数で記述した2自由度の Hamilton 力学系に対応する Hamilton-Jacobi 方程式の一つとして、 Jauslin-Kreiss-Moser が考察した系は、周期境界条件の下に時間周期的な外力のある Burgers 方程式と同値になる。この系の周期解の存在を各モーメント毎に Lax-Friedrichs 差分法で構成的に証明した。 その Poincare 写像を調べ、各周期時刻での解のグラフの連続性・不連続性を見ることにより、 Hamilton 系の準周期解がそのグラフ上に乗っていて存続している場合と乗らずにカオス解になっている場合を詳しく調べた。 更に、カオス解になっている場合にも不変集合である Aubry-Mather 集合を差分法で数値的に構成する方法を提案し、その集合を求めるとともに、解のモーメントの関数である effective Hamiltonian を数値的に求め、その導関数(回転数と呼ばれ、階段状の単調増大な連続関数である。)を求めた。 熱対流問題のうち、 Oberbeck-Boussinesq 近似方程式系を用いた分岐解析などと比て、圧縮性粘性流体の熱対流問題の解析的取扱いは、その質量保存則の非線形性からくる困難のためにほとんど手が付けられていなかった。 底面を一様に熱する水平な帯状領域での圧縮性粘性の熱対流問題も領域の厚さが薄くなった極限を考えると、線形化方程式の固有値問題の臨界 Rayleigh 数が近似系のそれに近づく( 1997, Pyi-Aye and T. Nishida )ということなどにより Oberbeck-Boussinesq 近似になると云う予想があった。 熱伝導解の摂動にたいして臨界 Rayleigh 数を越えない時の平衡定常解の存在証明ができた。領域が薄くなった極限として、上の近似の正当性も示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
熱対流問題に関しては、圧縮性粘性を考慮しなければならない場合に、永年の懸念であった領域の厚さに一様に平衡定常解の存在証明が出来、それが薄くなった極限として Oberbeck-Boussinesq 方程式が得られる事が示せた。力学系に関しては、 Jauslin-Kreiss-Moser の方程式(周期境界条件で時間周期外力のある Burgers 方程式)の周期解の差分法による構成的存在証明が出来たために、それを用いて解のモーメントの関数である effective Hamiltoniann の計算とその微分である回転数(階段状の連続関数)の計算法を提案し、その Aubry-Mather 集合も求められた。
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Strategy for Future Research Activity |
熱対流問題に関しては、圧縮性粘性を考慮しなければならない場合に、パターン形成(定常分岐)を領域の厚さに関して一様に証明したい。それによりパターン形成に関しても領域が薄くなった極限で Oberbeck-Boussinesq 近似方程式が得られる事を示したい。 領域の上下の境界条件が stress free と nonslip の場合に、大域的に得られるパターン(ロール型、六角形型、長方形型など)の計算機援用証明を行いたい。 Benard-Marangoni 熱対流問題に関連して、領域の上面が、自由境界の時と stress free のときの分岐現象の比較をしたい。 力学系に関しては、 Jauslin-Kreiss-Moser 方程式には非線形凸性があり、KAM 理論も弱 KAM 理論の解析も巧く行ったのであるが、 Fermi-Pasta-Ulam 問題は自由度2の場合にも凸性が無く、ゼロ解の近くでの KAM 理論しかない。 regular な解もカオス的な解も含めて計算機援用解析を進めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度に購入した、据置型の計算機をフルに使って計算機援用解析を進めたい。研究発表とプログラムの検証などに手軽に使えるノート型のパソコンを購入したい。(25万円) 計算機のソフト購入(10万円)。圧縮性粘性流体の熱対流問題での共同研究者である Ferrara 大学(イタリア)の Padula 教授を訪問し研究連絡をすることと Bedlewo (ポーランド)で行われる Parabolic and Navier-Sokes equations に関する国際研究集会に参加し招待講演を行いたい。(50万円)論文に含まれるカラーのページの印刷出版のための費用を出したい。(7万円)圧縮性粘性流体の分岐問題の共同研究者である隠居教授(九州大学)との研究連絡や、国内研究集会への出張、研究連絡に残りを使いたい。
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Research Products
(3 results)