2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23540253
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西田 孝明 京都大学, 情報学研究科, 研究員 (70026110)
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Keywords | 大域的解析 / 非線形偏微分方程式 / 力学系 / 熱対流問題 / 計算機援用解析 |
Research Abstract |
圧縮性粘性熱伝導性流体の熱対流問題を解析した。 重力下で水平領域にある流体を下から一様に熱する問題を Spiegel に従って無次元化すると Rayleigh 数と L = (Tu + Tl)/(beta*d) が主たるパラメーターとなる。Tu, Tl は上下の水平な境界での温度、 beta は温度勾配、 d は領域の厚さである。平衡解(熱伝導解)への外力、熱源等による摂動を加えたとき、 Rayleigh 数が臨界 Rayleigh 数より小さい時に、その定常解を L > L0 に対して一様に求めた。 更に、 L を大きくした極限では、いわゆる Oberbeck-Boussinesq 方程式の定常解に収束している事を示した。未知関数として、圧力、速度、温度をとり、適当な scale 変換を用い、質量保存則の強い非線形性を克服する事によって得られた。 圧縮性流体の熱対流問題のある極限で "非圧縮性"の熱対流問題の Oberbeck-Boussinesq 方程式が得られること、即ち後者の方程式系が上記の意味での近似になっていることの正当性を示した事になる。 非圧縮性流体の Navier-Stokes 方程式や Oberbeck-Boussinesq 方程式の定常解を求めるのに "弱圧縮性"を考慮して時間発展の極限として求める Chorin の方法が在る。安定な定常解ならその方法で得られると考えられ、計算機シミュレーションの結果も在る。その線形化した方程式の固有値を Oberbeck-Boussinesq 方程式の場合に計算機により求め、分岐現象迄こめて近似している事が分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
永らく懸念であった圧縮性粘性熱伝導性流体の熱対流問題と"非圧縮性" Oberbeck-Boussinesq 方程式系による熱対流問題の比較、近似性の証明の最初の段階を clear する事が出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
圧縮性粘性熱伝導性流体の熱対流問題を昨年度と同じ状況下で解析を続ける。 殊にパターン形成にあたる定常分岐を考察し、 L > L1 について一様に、 Rayleigh 数が臨界 Rayleigh 数を越える時に、定常分岐が起こっている事の証明に取組む。 さらに L を大きくしたときの極限として Oberbeck-Boussinesq 方程式系の定常分岐(パターン形成)が得られる事を示したい。 これによって分岐現象迄込めて Oberbeck-Boussinesq 方程式系の近似の正当性が示される事になる。 非圧縮性流体の安定な定常解を求める Chorin の方法の正当性を計算機援用解析として調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし。
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Research Products
(5 results)