2014 Fiscal Year Research-status Report
非線形拡散方程式における界面ダイナミクスと進行波の大域的解構造の研究
Project/Area Number |
23540254
|
Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
柳下 浩紀 京都産業大学, 理学部, 教授 (80349828)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
|
Keywords | 非線形現象 / 非線形解析 / 拡散方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
非線形の拡散現象を記述する放物型方程式に関して、その理解のために重要な対象である界面と進行波のダイナミクスについて研究を行った。界面のダイナミクスについては、比較定理や変分構造を有さない一般の連立系に対して、界面ダイナミクスの縮約系として平均曲率流が現れることを数学的に厳密に示すことを一つの目的としている。非線形系の拡散現象は、物理学、化学、生物学、さらに近年は金融工学上のモデル等、多くの分野で現れる。それらの中には、急激な状態変化が狭い領域に集中する界面と呼ばれる局在構造が現れて、この界面の示す振る舞いを理解することが非線形現象を解明する上での鍵になることが数多くあると認識されている。単独、あるいは連立の非線形拡散方程式で記述される拡散現象では、界面の動力学を支配する方程式が、形式的な摂動展開によって、空間内の曲面の発展方程式として導かれている。これらの方程式は、微分幾何学的には広い意味で平均曲率流方程式と呼ばれるものとなる。拡散現象が単独方程式で記述されている場合には、導出の数学的正当化がすでに多くの研究者の努力の結果、ほぼ満足のいく形で成功している。連立の方程式系の場合にも、その系が比較定理、ないしは変分構造を有するならば、単独方程式の場合と同様にして、導出の正当化を行なうことが可能である。一方、この種の‘数学上の良い構造’を持たない一般の連立系に関しては、数学的正当化は得られていない。良い数理構造を必ずしも持たない一般の連立系に関して界面運動の支配方程式として、平均曲率流方程式を数学的に導出することを研究目的の一つとしている。当該年度は、その目的のための重要なステップになると思われる、楕円型線形偏微分作用素のスペクトルの研究を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画の通りに進んでいる訳ではないが、研究の目的に沿って、拡散方程式の解の大域的な挙動についての理解が進んだ。特に、楕円型作用素のスペクトルに関して、新たな観察を得た。
|
Strategy for Future Research Activity |
連続系において成立する数学的な結果と離散化によって得られる数値的なデータとの間に成立する関係を(特に非線形拡散方程式の解に対して)明らかにし、数値計算の結果から数学的な結論を導く方法を確立するための研究を推進する。
|
Causes of Carryover |
研究に必要な資料が、当初の予想よりも安価に購入できた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
主として、研究に必要な資料(図書など)、及び、文具の購入に使用する。
|