2013 Fiscal Year Annual Research Report
線形微分作用素の跡公式と非線形可積分系の代数解析的研究
Project/Area Number |
23540255
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
大宮 眞弓 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (50035698)
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Keywords | KdV階層 / mKdV階層 / ミウラ変換 / 超幾何方程式 / ホイン型方程式 / 第一積分 / 局所モノドロミー / 準可換微分作用素 |
Research Abstract |
今回の研究テーマに関しては、期間中の研究によって、多成分型微分作用素の準可換微分作用素の基本的性質を明らかにできた。従来、準可換微分作用素の研究は、1次元シュレディンガー作用素を中心に、1成分型作用素の研究が主であった。それに対して,本研究では、2乗すると二つの1次元シュレディンガー作用素の直積になるようなディラック作用素を考え、それに対する準可換作用素環を構成した。詳しくは、下記の通りである。 KdV方程式と変形KdV方程式を結びつける変換としては,ソリトン理論の発展の出発点となったミウラ変換がある。それに対して,本研究では、定常KdV階層と定常mKdV階層の間に成り立つ同種の変換の存在を明らかにした。定常KdV階層に関しては、封来の、準可換微分作用素環を用いて解析的に定義される有限帯ポテンシャルや、無反射ポテンシャルを、代数幾何的ポテンシャルとして統一的に扱うことが可能になった。結果的に、代数幾何的ポテンシャルを有する微分作用素の単純スペクトルを,完全に代数的に扱え、さらにダルブー変換のスペクトル論的取り扱いが可能になった。本研究の今回の結果は、同種の理論の多成分化の可能性を示唆しており、現在研究が進行中である。また、1成分作用素に関しては,上記のスペクトル理論の応用として、定常KdV階層の第一積分の包合系を組織的に構成する代数的方法が構築できた。 他方、上記の第一積分の構成法を応用して、定常KdV階層を用いて、対応する2階線形微分方程式を1次元射影空間上の超幾何微分方程式やホイン型方程式のような確定特異点型方程式に変換するスキームが見いだされた。その確定特異点型方程式の局所モノドロミーを調べることにより、元の代数的微分方程式の解の周期性等の局所構造や大域構造を明らかにする方法が確立された。
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