2013 Fiscal Year Annual Research Report
高時間分解高分散分光観測に基づく星震学の新しい展開
Project/Area Number |
23540260
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴橋 博資 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30126081)
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Keywords | 脈動星 / スペクトル線 / 恒星大気 / 衝撃波 |
Research Abstract |
ヘリウムを主成分とする大気を持つ、コンパクト星の大気構造並びに運動構造を、すばる望遠鏡を使って、高分散かつ高時間分解能のスペクトル観測を行い、その解析を進めた。脈動速度が音速に達して衝撃波が生じ、それが大気を伝わる様を明らかにした。理論モデル大気を使ったシミュレーション結果との詳細な比較を現在も継続中である。また、或る表面温度を持つ水素大気の白色矮星だけが異様に少ないという観測事実を説明する仮説からは、新しい型の脈動白色矮星が予言されるが、それを探索し実際に存在することを発見した。 B型輝線星の活動機構について、星の振動の進化により星周円盤が生成されるという観点から以下の様な検討を行った。即ち、B型主系列星は鉄族元素のイオン化する温度領域で起きるκメカニズムにより振動不安定となる。非軸対称gモードによって、角運動量が星表面に輸送され表面付近の自転速度が上昇する。その結果として、重力波が定在波になるための星表面での臨界振動数(それ以下では定在波にならずに進行波になる)が高くなり、それまで定在波であった振動モードが進行波となって一気に角運動量放出と質量放出となり、星周円盤を形成して輝線星になる。一旦、角運動量を放出すると、振動は減衰することになる。再び脈動が励起されて成長するには数十年を要するが、これが活動の周期となる。 また、ケプラー探査機によって得られる超高精度観測ならではの活用法を研究した。脈動星の測光観測から、脈動星が連星を成しているか否かを明らかにし、連星を成している場合には、測光観測データのみから、連星の軌道要素、視線速度を求める方法を確立した。また、従来は、測光を行う時間間隔が解析可能な振動数域を決めていると思われていたが、そういった限界がない事を証明し、ケプラー衛星が得る観測データに新たな活路を開く事に成功した。今後、数多くの応用が期待される。
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[Journal Article] Hot DAVs: a probable new class of pulsating white dwarf stars2013
Author(s)
Kurtz, D.W., Shibahashi, H., Dhillon, V.S., Marsh, T.R., Littlefair, S.P., Copperwheat, C.M., Gansicke, B.T., & Parsons, S.G.
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Journal Title
MNRAS
Volume: 432
Pages: 1632-1639
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Establishing Shock Diagnostics in the Pulsating Extreme Helium Star V642 Herculis2013
Author(s)
Jeffery, C.S., Shibahashi, H., Kurtz, D.W., Elkin, V., Montanes-Rodriguez, P., & Saio, H.
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Journal Title
ASP Conf. Ser.
Volume: 479
Pages: 369-376
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