2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23540261
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本原 顕太郎 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (90343102)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 近赤外線 / 面分光 / 超精密加工 / イメージスライサ |
Research Abstract |
SWIMSをすばる望遠鏡に取り付けた際の構成で面分光を実現するための光学系の検討を行い、スリット幅0.4秒角/長さ14秒角で26スライス(10.4秒角×14秒角視野)を持つ、SWIMSの多天体スリットマスクホルダーに収納・交換可能な150mm×188.5mmに収まる光学系の解を得ることに成功した。光学系の素子は大きく3つのコンポーネントで構成され、視野を分割するイメージスライサ、その光を再結像する瞳ミラー、さらにスリット状にSWIMSの焦点面に光を入れるスリットミラーである。これらの反射系素子は100K付近まで冷却されるため、材質は構造材と同じアルミニウム合金で作る必要がある。また、スライス数は26スライスで設計をおこなっており、非常に多くの光学面(現在の設計で78面)を十分な面精度で精密に並べる必要があることから、その加工をどうするかが問題となる。そこで我々は、ここ数年で急激に進歩している研削・切削による超精密加工技術を用いることを検討し、最新の超精密加工機を保有する日精テクノロジー株式会社において超精密加工機械で実際に一辺20mm角の球面鏡を試作した。鏡面は荒加工の後、表面をニッケルメッキしたものを加工している。その面形状と精度を実測した所、形状誤差については0.1um(PV)以下、表面粗さは4-5nm(rms)程度と、SWIMSの観測波長である1-2.5umにおいての使用では全く問題ないレベルのものが超精密加工機械による加工のみで実現できることが実証された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初考えていたよりイメージスライサ型面分光ユニットの光学系の検討に時間を要した。特に、結像性能が十分なレベル(0.4秒角程度のスポット)のものを得る見通しが当初考えていたよりも難しく、様々な形状の瞳ミラーの面形状を探る必要があった。また、その結果得られたミラーの加工についても、スライサミラーについては当初想定していたメーカーの超精密加工機ではサイズ大きすぎるため加工が困難であることが明らかになった。そのような形状を加工できる超精密加工機を探したところ、別メーカーの超精密加工機によりスライサミラーを製作することが可能であることが明らかになり、現在加工方法を新たに検討しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、今年度設計した光学素子の試作を行う。また、その素子を組み込むIFUユニットの設計と制作を行い、最終的にSWIMSのスリット交換機構に組み込んでの動作試験を行う。次々年度には次年度に設計した拡大光学系の光学素子を製作する。これをIFUユニットの構造体に組み込むことで、最低限の試験が可能となるIFUユニットのプロトタイプが完成する。また、この時点でSWIMS本体、特に光学系・検出器系・冷却系の組み上げと調整がほぼ完了し、実際の観測と同じ条件での各種測定が可能になる予定である。そこに試作したIFUユニットを組み込み、実験室でキャリブレーション光を導入して結像などの光学性能の確認試験を行う。これにより、SWIMSに組み込むIFUユニットのプロトタイプの開発はほぼ完了する。この時点で当初想定していた性能を達成する目途がついた場合には、新たなより大きな科学研究費補助金などに応募し、14秒角×10秒角を覆う全26スライスのIFU光学素子(スライサミラー、瞳ミラーアレイ、スリットミラーアレイ)の製造を行うともに、SWIMSをハワイ観測所のすばる望遠鏡に取り付け、試験観測を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、平成23年度に設計した光学素子の試作を行う。現在の設計は26スライスあるが、これをすべて作らず、視野中心及び視野端(最も大きく光学収差が出る場所)の数スライス分の光学面をもった素子となる。スライサミラーに関しては本年度想定していたのとは別の超精密加工機をもちいた加工手法を検討し、試作する。更に、試作した素子を液体窒素温度にまで冷却した際の面精度と耐久性の試験を行う。これらと平行して、IFUユニット構造体の設計と制作を行い、実際にSWIMSのスリット交換機構に組み込んでユニットの交換動作の試験を行う。特に、SWIMSのマスク交換を行うマスクキャッチャーの握力で保持できる程度に軽量化できるかが設計上の大きなポイントとなる。その厚みもSWIMSのマスク収納部に収めるために3cm以下に抑える必要がある。また、これをすばる望遠鏡に取り付けて観測を行うためには、スライスミラー面まで望遠鏡焦点面を引き出し、さらにその視野を拡大する拡大光学系が必要になる。そのための設計も併せて行う。さらに、現時点で得られた光学設計および加工技術の検討状況、および試作した素子の性能をまとめて国際学会で発表する。
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