2012 Fiscal Year Research-status Report
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23540261
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本原 顕太郎 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (90343102)
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Keywords | 近赤外線 / 面分光 / 超精密加工 / イメージスライサ |
Research Abstract |
昨年度製造した切削による試作球面ミラー(20mm角)の液体窒素温度での冷却形状試験を行った。その結果、表面に施したニッケルメッキと母材のジュラルミンの熱膨張率差により、鏡面端の形状変形が大きく、ニッケルメッキを用いることができないことを明らかにした。鏡面形状確保のためにはジュラルミンへの直接加工が必要となるが、その場合には面粗さを達成することが難しくなる。 上記結果を受け、面分光ユニットの光学素子の内、最も製造が難しいイメージスライサの製造の検討を進めた。本年度は、超精密研削加工機を用いてジュラルミン角材に3チャンネルのイメージスライサを直接加工する試作を行い、反射面の形状が要求仕様内で製造できることを実証した。反射面の表面粗さについても7nmRMSが達成され、要求仕様の5nmRMSにはわずかに及ばないものの、実用的な鏡面をニッケルメッキなしで超精密切削加工で製造することが可能であることを実証した。 また、望遠鏡焦点に結像した像を拡大し、面分光ユニットのイメージスライサで再結像する2.5倍拡大光学系の検討を進めた結果、おおよそ目標とする光学系が組めることを確認した。 また、SWIMSのマスク交換ユニットの耐荷重試験を行い、最大で950gのマスク(或いはそれに相当する物体)を取り扱い、交換できることを確認した。安全係数を1.2で考えると、面分光ユニットの総重量はおよそ800g以下に抑えることが必要となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度の面分光光学系の検討の遅れにより全体の進行が遅れている。また、瞳ミラーアレイ、及びスリットミラーアレイのサイズのものを一体加工できる超精密加工機の選定とそれを用いた試作に時間を要したことも遅れの要因の一つである また、本面分光ユニットを取り付ける近赤外線分光カメラであるSWIMSの開発が、デュワーの変形試験の遅れにより大幅に遅れており、SWIMS本体に組み込んでの試験を開始できるのが2013年度後半にずれ込む状況である。 ただ、研究の目的である「面分光ユニットのプロトタイプの開発」については、光学系の設計解の目処はほぼ立っており、各光学要素の製造の見通しもつきつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、現在進めている拡大光学系の検討を完了させる。特に、拡大光学系と面分光ユニットをSWIMSのマスク交換機構で取り扱えるサイズに押さえることが大きな挑戦となる。その後、拡大光学系のレンズと金属ミラー、さらにそのホルダを試作する。また、現在設計している26チャンネルの面分光ユニットの内、視野中心の1チャンネルと、視野両端の2チャンネルの計3チェンネルのみの試作ユニットを製造する。超精密研削加工機による一体加工で3チャンネルのみのイメージスライサ、瞳ミラー、スリットミラーの製造をするとともに、上記各光学部品をまとめて搭載するホルダーの設計製作を行う。機械的強度を確保しつつ、総重量をマスク交換機構で取り扱える800g以下に抑えこむことが大きな技術的挑戦となる。 このホルダーに拡大光学系と各種面分光光学系を組み上げ、光軸調整を行なって、面分光ユニットのプロトタイプとして完成させる。また、実際にSWIMSのマスク交換ユニットに組み込んで冷却及び交換が可能であるかの検証も行う。これにより、本研究で目的としていた、SWIMS用のIFUモジュールのプロトタイプ開発の目標は達せられる。 以上の結果を研究会および学会で発表する。 これを受けて、より大きな科学研究補助金などに応募し、2014年度以降に14×10秒角をカバーするIFU光学素子の製造及び、SWIMSに取り付けてた観測を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
拡大光学系は2枚のレンズと一枚の凹面アルミ鏡で構成される。このレンズと鏡の製造を行う。この製造費用として50万円程度を想定している。また、現在設計している26チャンネルの面分光ユニットの内、3チャンネルのみの試作ユニットを製造する。面分光ユニットはイメージスライサ、瞳ミラー、スリットミラーで構成されており、これらを超精密研削加工機による一体加工で製造することになる。この費用として50万円程度を想定している また、上記各光学部品をまとめて搭載するホルダーの設計製作を行う。この費用として、20万円程度を想定している。
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