2014 Fiscal Year Annual Research Report
初代と第二世代の種族Ⅲ星への異なる質量降着が引き起こす超新星とその元素合成
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23540262
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野本 憲一 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 特任教授 (90110676)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 知治 中部大学, 工学部, 准教授 (20280935)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 超新星 / 宇宙化学進化 / 元素合成 / 宇宙初代星 / 大質量星 |
Outline of Annual Research Achievements |
宇宙の初期に形成された重元素を含まない種族IIIの星の進化は、宇宙の元素の起源、宇宙の再電離の源、巨大および中間質量ブラックホールの起源の問題とも密接に関連して、現在の天文学の焦点の一つである。種族IIIの星には、初代星としての種族III.1の星と、初代星に熱的力学的影響を受けて形成される種族III.2の星とがある。本研究では、これらの星が、どのような質量の星に進化して、どのようなタイプの超新星を引き起こし、どのような重元素を宇宙空間に放出するか、種族III.1とIII.2の星で、どのような違いが生じるかの理論的予測をたて、元素組成などの観測との比較から、初期天体の性質と進化を探求することを目的とした。 最終年度は、新たに報告された、鉄が観測されないという星のデータの解析を中心に研究を進めた。鉄は本研究の結論を出す上で最も重要な元素だからである。この鉄の含有量がゼロの星の元素組成の分析と、それを説明する星の進化と超新星爆発のシミュレーションを行った。その結果、注目すべき点として、微量ながら有意に存在するカルシウムに2つの起源があることを見出した。すなわち、爆発前の Hot-CNO cycle で生成される場合と、爆発時に生成される場合である。前者の場合は爆発した星の質量が非常に大きく、初期CNO量が極端に少ないという制限がつく。すなわち、種族III.1の初代星である可能性が高い。他の鉄欠乏星の元素組成と比較して、種族III.1とIII.2の星の初期質量関数の差を明らかにする上で、カルシウムと鉄より重い元素の含有量が重要な手がかりとなることが判明した。
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Research Products
(5 results)