2012 Fiscal Year Research-status Report
2次元高分解能分光観測による太陽表面ジェットの研究
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23540264
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北井 礼三郎 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40169850)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一本 潔 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70193456)
柴田 一成 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70144178)
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Keywords | 太陽活動 / ジェット現象 / 微細構造 / 太陽表面磁場 |
Research Abstract |
本研究課題は、2次元高分解能分光観測による太陽表面ジェットの観測的研究である。平成24年度は太陽観測ひので衛星狭帯域画像を用いて、フレア爆発を起こした太陽活動領域の3次元磁場の変化を解析して、そのHelicity変化を調査した。磁場解析に新たな手法を開発導入して、Helicity変化を引き起こしている真の原因が、表面流体のねじり運動であるのか、あるいは、太陽対流層の深い層でのねじりによって作られた磁束の浮上によるものかを区別することに成功した。今回の研究結果は、対象として領域ではHelicityは深層で作られたねじれた磁束管の浮上によってHelicity変化が起こされていることが分かった。この結果は学術誌Astrophysical Journalに出版した。 また、本研究の一環として、激しい活動現象を引き起こす太陽のデルタ型黒点の形態学的変化、磁場分布変化、3次元速度場変化についての統計調査を行った。この研究の中から、デルタ型活動領域が形成されるひとつの典型例を見出した。それは、活動領域が減衰するときに、それまで太陽表面に分布していた磁束が下層に沈下してゆくときにデルタ型の黒点になる振舞いを示す例であった。このようなデルタ型黒点の形成は、従来知られていなかったものであり、新しい知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
太陽表面上に発生する規模の小さなものから大きなものまで様々な種類のジェット現象の観測的研究から、表面磁場での磁気再結合プロセスが共通の駆動機構であることが明らかとなってきた。また、その磁気再結合を引き起こす磁場配位、磁場ねじれ創出機構についての解明の手掛かりを得た。
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Strategy for Future Research Activity |
京都大学理学研究科附属飛騨天文台のドームレス太陽望遠鏡では、新規補償光学装置の導入が平成25年度完了する。これを用いて、従来地上望遠鏡では大気乱れのため不可能であった観測を実施することができる。微細なジェット現象の多波長分光学観測を予定しており、これによってジェット現象の詳細な振舞いを捉えて、より精度高く電磁流体学的物理量を導出する方針である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、本研究の最終年度であり、太陽分光観測のために飛騨天文台に出張する旅費使用を予定している。また、研究成果発表のための海外出張経費、および論文出版費に使用する計画である。
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Research Products
(2 results)