2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23540269
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
坪井 陽子 中央大学, 理工学部, 准教授 (70349223)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | フレア / X線 / 星 |
Research Abstract |
1. Tタウリ型星 TWA-7 から、Tタウリ型星として最大規模のX線フレアをMAXIによって検出。この星には降着円盤や伴星が付随しないことから、従来提唱されてきた降着円盤や伴星の存在が巨大フレアの発生機構の重要要因であることの反例を実証した(Uzawa, Tsuboi, et al. 2011 PASJ 63, 713)。また、恒星の巨大フレアをMAXIでサーベイし、2年間で23個もの大規模フレアを発見した。結果、天体の自転速度がフレア規模を決める重要なパラメータであるヒントを得た(Tsuboi et al. 2011 4th Suzaku Science Conference at SLAC)。さらにこれら恒星フレアが銀河面X線放射(GRXE)の大部分として寄与している可能性をMAXIの結果を使って世界で初めて提唱した(Matsuoka et al. 2011 AIP conference proceedings 1427, 294)2. 前主系列星V773 Tau の多波長同時観測を行い、電波とX線でフレアを検出した(松村、他 2011 に本天文学会秋季年会)。3. 非縮退系天体最速クラスの4500km/s の星風を持つ、銀河系唯一のWO 型W-R 連星系をXMM-Newton 衛星で観測し、激しく吸収を受けた高温成分を初検出した(菅原、他 2011 に本天文学会秋季年会)。4. Chandra 衛星及びSpitzer 衛星で星生成領域L1228 とIC5146を観測し、原始星候補天体からのX線を確認した(宮崎、他 2011 日本天文学会秋季年会)。5. Wolf-Rayet 連星系WR 21aのX線光度を1978 年から2008 年にかけて調べ、通常の連星における変動とは全く異なる挙動を確認した(菅原、他 2012 日本天文学会春季年会)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は特にMAXIを用いての恒星およびYSOフレアの研究が飛躍的に進んだ。そのうちYSOのフレアについては査読論文が受理され、星一般のフレアに関する論文も査読論文として現在投稿中である。星の巨大フレアは何が起源として発生するかについてもヒントを既に得ており、今後さらにサンプルが増えることにより信頼度を上げていけると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度と同じく探査を進めつつ、惑星、褐色矮星から恒星質量の天体まで、質量・年齢ごとに分けてX線温度、X線強度変動、プラズマ密度などをまとめていく。また可視光フォローアップ観測を可能にし、可視光のパラメータも取得する。以上のサンプルで各物理パラメータの相関を統一的に調べあげ、その相関を原始星に適用し、原始星中心天体の基本物理量を明らかにする。偏光X線光学系の開発は、実際に簡単な光学系として組んで撮像能力を実証する。実際の観測に必要なレベルの測定をするための口径などを求め、実現性の検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H23年度は多数の星フレアをMAXIで検出し、それらの星の可視光情報を得る必要性を痛感させられた。そこで本年度は可視光フォローアップ観測を可能にするため、予算を繰越している。その予算は地球の自転によって天体が移動するのを追尾するための赤道儀に使う。また、その他の予算は偏光X線光学系の開発のために新たな種類の単結晶、他結晶の購入、旅費、論文投稿料、謝金にあてる。
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