2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23540269
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
坪井 陽子 中央大学, 理工学部, 准教授 (70349223)
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Keywords | フレア / X線 / 星 |
Research Abstract |
国際宇宙ステーション(ISS)に搭載された高感度の全天X線モニターMAXIを使って我々は運用開始2年目以降の星のフレアのサーチを行い、45発の巨大フレア(ルミノシティーが1e31ergs/s以上)の検出を確認した。特に1周回のみで検出される、decay time の短いサンプルが増加した。また2012年4月18日(UT)にAT Micから、ルミノシティーが1e32ergs/s台のdMe型星としては過去最大のフレアを検出した。フレアの立ち上がりが5分程度の短い時間で急激な増光を示したことがわかった。 最も巨大なX線フレアを起こすRS-CVn 型連星 II Pegを、26cm 望遠鏡での V バンド測光システムと28cm 望遠鏡での分光システムで観測した結果、2012 年 11 月 12 日に V バンドで相対等級 0.5 等の増光現象(フレア)をとらえた。増光には6分、減光には 1 時間かかり通常の明るさに達した。e-foldig time は 2000--2200 秒であった。また、スペクトルを黒体放射モデルでフィッティングしたところ、温度T = 13000 K、Lbol = 2.97e33 erg/s、全エネルギー E = (5.9--6.5)e36 erg であり、U バンド帯域のエネルギー EU = 1e36 erg であった。これは今まで確認されているフレアの中でも極めて大きいものと言える。さらにII Pegを2013年1月にX線、紫外、可視光において多波長同時観測し、Suzaku衛星で2発のフレアを確認した。現在解析中である。 X線偏光に感度を持つ光学系を開発し、特許を出願した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MAXI による無バイアスの星のフレア探査を進め、サンプルを大幅に増加させた。このことにより、星のフレア機構の基本物理量を統計的に議論する土台ができつつある。また、X線偏光に感度を持つ光学系の開発が軌道にのり、特許を出願できた。
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Strategy for Future Research Activity |
MAXI の星フレアの論文を完成させ、統計的議論を行う。またMAXI でフレアを発見した直後に可視光観測を自動で行える追尾システムを完成させる。活発なT Tauri 型星の多波長観測の解析を終え、論文化する。 さらにこれらの結果から原始星の基本パラメータとして何が言えるかを考え、星生成領域からのX線の論文にフィードバックを与える。 X線偏光検出の感度をさらにあげるための新たなるパラメータについて模索する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
MAXIでフレアが検出された星の可視光追尾を自動で行うことを可能にするために、スカイモニター(雲などの状況をモニターする)システムを作る。また、偏光X線光学系の開発のために新たな種類の単結晶、他結晶の購入を行う。さらに、論文化のために、旅費、論文投稿料、謝金が必要である。
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