2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23540277
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
立原 研悟 国立天文台, ALMA推進室, 助教 (70432565)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 電波天文学 / 星間物質 / 星形成 |
Research Abstract |
本研究を始める基礎となった、単一鏡による分子雲微細構造の検出結果は、今年度論文にまとめられ、ApJ誌に投稿された。レフェリ ーコメントは好意的な物であったが、データの信頼性に関して疑問が示された。そのため検出スペクトルのS/N比、および速度分解能をあげるため、45m鏡での追観測を行い、その結果をもとに論文を改訂、再投稿した結果、年度をまたいで受理された。この結果はさらに、アメリカ天文学会(AAS meeting)やチリ・サンチャゴでのmini workshopで発表され、他波長の観測的天文学者を含む、海外の研究者からの興味を引くことができた。より高空間分解能のデータを得るため、ALMAに提案した観測は残念ながら受理されなかった。レフェリーからは、理論モデルとのより詳細かつ直接的な比較が求められる、とのコメントが得られた。そのため共同研究者である理論天文学者を訪問し、議論を持った。数値シミュレーションの結果からALMAで得られる結果を予想し、次年度のプロポーザルに反映させる予定である。また、ASTE望遠鏡を用い、若い原始星からのCI輝線及びCS J=7-6の観測をおこない、原始星からの力学的・化学的フィードバックの効果を調べるデータを得た。いくつかの天体からは、フィードバック効果を示唆する非常に興味深い結果が得られたが、これらが普遍的なものであるのか、天体の年齢に依存するのかなどを調べるため、平成24年度の追観測を申請し、受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
単一鏡による低温度分子ガスの観測は、結果をまとめ論文を投稿することもできた。またこの結果をもとに、他波長の研究者との共同研究など、今後の発展も期待され、満足の行く物であった。一方でALMAでの観測提案は受け入れられず、H24年度での再度の提案に向け、準備を始めている。競争倍率は非常に高いため、十分な準備が求められる。一方高温度ガス成分に関しては、まだ基礎データも取得されていないが、今年度ASTE望遠鏡に500 GHzのサブミリ波受信器が搭載されることに合わせ、観測を準備している。光赤外の研究者との共同研究も議論が進んでおり、偏光観測によって、乱流が磁場構造に与える影響や、Hα輝線観測によって電離波面の詳細構造を調査することなどを検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は研究に理論モデルをより多く取り入れ、より良い観測提案をALMAに提出したい。そのため、理論モデルと観測結果の詳細な比較を行う。さらにASTE望遠鏡によるサブミリ波観測で、高温度ガスの構造の調査を予定している。光赤外の観測に関しては、小型望遠鏡でのHα輝線、OIII輝線のデータがすでに取得されたが、より大型望遠鏡に提案することを検討したい。また偏光観測に関しては、現在国立天文台の研究者と議論を進めており、可能ならば南アの光赤外望遠鏡で観測を実行したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は国際研究会の出席、2回の観測と研究打ち合わせで、3回の海外出張を行ったが、そのうち1回が年度末であったため、出張旅費を次年度に繰り越し、平成24年4月の支払いとした。またデータ解析用のPCとモニター、 ハードドライブを購入した。平成24年度は観測のために海外・国内出張旅費を使いたい。さらに理論天文学者との議論には、両者の巨大なデータを比較検討する必要があるため、研究打ち合わせのための海外出張旅費が必要である。H23年度にはデータ解析用のPCを購入し、45m鏡およびASTEのデータ解析に使用しているが、ALMAの観測が実行できれば非常に大きなデータストレージを必要とするため、ハードドライブなどを適宜追加購入したい。さらに当初の計画通り、ラップトップPCを購入する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Presentation] Small Scale Structures as Units of Dynamical Multi-Phase Interstellar Medium2012
Author(s)
Tachihara, K., Saigo, K., Higuchi, A., Inoue, T.,Inutsuka, S.
Organizer
American Astronomical Society, AAS Meeting #219
Place of Presentation
Austin, TX, USA
Year and Date
2012 – 112
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