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2012 Fiscal Year Research-status Report

LHC時代における重いクォークの精密物理

Research Project

Project/Area Number 23540281
Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

隅野 行成  東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80260412)

KeywordsLHC実験 / ハドロンコライダー / 質量測定 / 高精度測定 / ヒッグス粒子 / 高次輻射補正
Research Abstract

前年度に引き続き、ヒッグス粒子のWW崩壊モードを用いて新しく開発したレプトンエネルギー分布を使う方法によって、ヒッグス質量の再構成のシミュレーション解析を行なった。既にこの方法ではjetエネルギースケールの不定性や、parton-distribution functionに起因する不定性を小さく抑えられる事を示していたが、今年度のヒッグス粒子と思われる粒子の発見を受けて、現実的なヒッグス質量(約125GeV)の場合に、Gluon-Fusion及びVector-Boson-Fusionから シミュレーション解析によって、期待通り系統誤差を小さく抑えられることを確かめた。一方、統計誤差が大きく、そちらが支配的であることが分かった。(これは現実のヒッグス質量に大きく依存する。)現在、開発した解析手法の詳細を詰め、本論文としてまとめているところである。また、同様の方法を用いたトップクォークの質量測定について、予備的なシミュレーション解析と、理論的な考察を進めた。現段階の考察から、原理的にはLHC実験において高精度のトップクォークMSbar質量を測定することが可能であると推定される。
また、クォーコニウムスペクトルの精密計算も進めている。昨年度から引き続き開発してきた、高次輻射補正計算に現れる新しい多重和の解析的評価法を論文としてまとめ発表した。同時に、この計算法を実装した強力かつ汎用性の高いソフトウェア「和」を開発・リリースした。この方法を用いて、一般のクォーコニウムスペクトルのNext-to-next-to-next-to-leading order(NNNLO)補正の計算を開始した。現在、計算の半分以上は終わった。見通しとしては、大きな困難なく計算を完成させることが出来そうである。その結果、チャームクォーク及びボトムクォークのMSbar質量の精密決定が可能となる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

ヒッグス粒子の質量測定法の開発は元々の計画の範囲を超えた成果であった。ただしその応用は、現実のヒッグスの質量に大きく依存し、(昨年度の一時期に予測されたように)もし150GeV近傍であったならば、真に重要な測定法となったのであるが、残念ながら現在は125GeV近傍であることが推定され、この場合統計誤差が支配的となるため、系統誤差を小さくするという新しく開発した方法の長所が生かされない。その意味で、当初計画以上の成果は見込めない。一方、トップクォークの質量測定に関しては、当初の目標に向かって研究を進めている。予備的な解析では大きな困難は見つかっていないため、当初の計画通りと考えてよいだろう。一方、クォーコニウムスペクトルの高次補正計算も順調に進んでいる。

Strategy for Future Research Activity

既に行ったヒッグス粒子のシミュレーション解析での経験を元に、本格的なトップクォークの質量測定法のシミュレーション解析を行なう。まずは全トップクォークイベントを用いた場合の解析を行なう。新しく開発した方法では、ジェット測定量を用いないため、また測定法がトップクォークの速度に依存しないために、高統計のデータを用いてのMSbar質量の測定が可能との理論的な予想を立てた。これは従来の方法では大変難しいとされる。我々の方法で問題となるのは、トップクォークの生成・崩壊過程におけるQCD補正の計算であるが、解析計算とMC@NLOなどのシミュレーションを駆使して組み合わせれば、最低限必要な補正は計算可能であると推定する。理想的には、NNLO補正もsector decompositionの方法などを用いて実行したいが、それは現時点では挑戦的な課題ということになる。またthreshold近傍のイベントも使った解析をバックアップ用の方法として考えている。こちらはクリーンだが、イベントが少ないため、統計誤差が大きくなることが懸念される。
クォーコニウムスペクトルのNNNLO補正計算に必要なパーツは既にすべてそろっている。特に、今年度開発した多重和の解析的評価のソフトウェアにより、簡潔な解析的表式(無限和を含まない表式)を得られるようになった。現在クーロン補正について計算を実行しており、triple insertion, double insertionは終わった。残りはsingle insertionとultrasoft補正(QCDベーテlog)である。またその後に非クーロン補正(スピンに依存する部分と依存しない部分、double insertionとsingle insertion)を計算する予定である。計算量は多いが、根本的な困難は見込まれていない。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額と合わせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2013

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] Algorithms to Evaluate Multiple Sums for Loop Computations2013

    • Author(s)
      C. Anzai, Y. Sumino
    • Journal Title

      J. Math. Phys

      Volume: 54 Pages: 033514-1 - 033514-22

    • DOI

      10.1063/1.4795288

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 摂動QCDによるクォーク・反クォーク対系の理解の進展2013

    • Author(s)
      隅野行成
    • Organizer
      日本物理学会第68回年次大会シンポジウム講演
    • Place of Presentation
      広島大学東広島キャンパス
    • Year and Date
      20130328-20130328
    • Invited

URL: 

Published: 2014-07-24  

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