2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23540281
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
隅野 行成 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80260412)
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Keywords | LHC |
Research Abstract |
前年度に引き続き、LHC実験でトップのMSbar質量を高精度測定するための方法を開発・発展した。その原理的基盤は、2011年に開発したweight function法で、次の特徴を持つ:(1)レプトンエネルギー分布だけを用いる。ジェットの情報を使わないので、hadronization モデルへの依存性や、ジェット再構成に関する不定性などの影響が(ほとんど)ない、(2)理想的にはトップクォークの速度分布に依存しないため、パートン分布関数(PDF) やinitial-state radiation の不定性の影響が小さく抑えられる。即ち、理想的極限でhadronization やPDF などのモデルの介在無しに、実験値と摂動QCD の計算結果の直接比較からトップのMSbar質量を得ることができる方法となっている。 主要なイベントセレクションカットの影響を含めたシミュレーション解析を行ない、100fb^-1 での統計誤差が約0.5GeV との推定値を得た。また、主要な系統誤差について評価を行ない、最大のものでも1.5 GeV程度という結果を得た。この結果、実用化に向けて大きく前進したと考えている。(現在はLOの解析である。) Weight function法はジェットの影響が小さいため、ジェットに関する不定性の影響は抑制される。カットの中で最も影響が大きいものはレプトンPTカットであるが、レプトンPT分布を精度よく摂動計算できるため、カットの効果の信頼性の高い評価が可能である。低エネルギーレプトンイベントをMCで生成して補い、かつその不定性が小さいことを示すという方法を採用した。 また重いクォーコニウムのスペクトルに対する3次補正計算を完成させた。現在、これを元にb,cクォークのMSbar質量の高精度決定の解析を行なっている。
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Research Products
(4 results)