2013 Fiscal Year Annual Research Report
バースト的シグナルを含む新しい重力波データ解析手法の開発
Project/Area Number |
23540293
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大原 謙一 新潟大学, 自然科学系, 教授 (00183765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 弘毅 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (40419693)
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Keywords | 重力波 / データ解析 / 国際情報交換(米国,台湾,韓国) |
Research Abstract |
Hilbert-Huang Transform (HHT) を用いた重力波解析について,具体的な解析法の研究を行った。まず,HHT法の重要な要素である,Empirical Mode Decomposition (EMD) や Ensemble EMD (EEMD)の実行の際に決めておくパラメータについて,バースト重力波の解析に最適な値を決定するために,詳細な解析を行った。 さらに,この成果を元に,バースト重力波捕捉のalert-system構築法を改良し,HHT法を用いた excess amplitude法を開発した。これにより,signal-noise ratio SNR=10の場合,重力波信号を取り逃す割合 false dismisal rate が 4×10^{-5},偽のalertを発する割合 false alarm rateが 1×10^{-4} とすることが可能であることを示した。この解析は,計算時間は十分短いため,real timeに実行可能であり,実際の重力波検出システムに組み込みが可能である。 また,連星中性子星の合体の際に放射される重力波に関して,数値相対論のシミュレーションよって得られた重力波波形に対してHHT法を適用し,inspiral phaseのチャープ信号はかなりの高精度でとらえることができ,さらに振幅が小さなring-down phaseの重力波についても十分な精度で解析可能であることを示した。具体的には,10Mpcの距離で起こったイベントで10%程度の誤差で振動数の時間変化を求めることができた。すなわち,matched filter法では解析が困難なring-down phaseの詳しい解析を行い,重力波の観測により中性子星の状態方程式の情報を明らかにすることが可能であるということである。これは,重力波のデータ解析にHHT法が広く適用可能であることを示しており,学術的な意義は大きなものである。
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