2013 Fiscal Year Annual Research Report
原子核密度汎関数理論で解明する弱束縛中性子の集団ダイナミックス
Project/Area Number |
23540294
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
松尾 正之 新潟大学, 自然科学系, 教授 (70212214)
|
Keywords | 弱束縛原子核 / 対相関 / ダイニュートロン相関 / 中性子過剰核 / 準粒子共鳴 / 連続状態QRPA理論 |
Research Abstract |
1.中性子過剰核において出現する特徴的な対振動・対移行モードの解明:スキルム型密度汎関数模型を用いたHartree-Fock-Bogoliubov理論と連続状態QRPA理論を用い、前年度までに分析してきた異常対振動モードと基底状態対移行モードに加え、巨大対振動モードも併せて分析し、安定核から弱束縛中性子過剰核までの広範囲における対振動・対移行モードの全体像を解明した。すなわち、i) A>132領域の中性子過剰Sn同位体に出現する異常対振動状態、ii) 安定核を含む120<A<132での巨大対振動状態、およびiii) 非常に中性子過剰なA>140同位体の基底状態対移行モードは、一つながりの集団モードであり、いずれも弱束縛2中性子によって形成されるダイニュートロン相関を示すことを解明した。 2.元素合成反応断面積の高精細記述を目指した連続状態QRPA理論の開発:前年度までに骨格を見出した中性子捕獲断面積を高精細に記述する連続状態QRPA理論を発展させた。特に、ドリップライン近傍核に実際に適用するうえで必要となる計算空間の拡大に成功した。これは、今後、中性子分離エネルギーが1MeV程度の弱束縛系を対象にした高精細計算を可能にするものである。 3.中性子ドリップライン近傍核におけるダイニュートロン相関と準粒子共鳴の研究:ダイニュートロン相関の発現機構を明らかにするため、Ca,Ni,Zr,Sn同位体の安定核からドリップラインまでの系統的なHFB基底状態計算・解析を行い、i) 漸近指数の中性子フェルミ面依存性に普遍的なスケール則が存在することを見出し, ii) HFB理論におけるクーパー対波動関数の漸近形がダイニュートロン相関を示すことを解析的に証明した。また、ドリップライン近傍核のおける準粒子共鳴は、空孔的な準粒子共鳴と異なり共鳴幅の現象をもたらす効果を持つことを見出した。
|
Research Products
(13 results)