2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23540297
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
南部 保貞 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40212112)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 量子相関 / エンタングルメント / インフレーション |
Research Abstract |
量子場の持つ量子相関の振舞いを,場と相互作用する2つの検出器の理論モデルを用いて解析した.量子論固有の性質であるエンタングルメントの有無は,このモデルにおいては2つの検出器の状態に対するnegativityとよばれる物理量を用いて判定される.ミンコフスキー時空での真空状態,ミンコフスキー時空での熱的状態,インフレーション宇宙での真空状態に対してエンタングルメントの振舞いを詳細に調べた.negativityの評価は振動関数の2重積分の形で表現されるために,解析的にその振舞いを把握するのは困難である.そのため多少時間のかかる数値積分を実行することでその振舞いを得ることに成功した.結論としては,ミンコフスキー時空の真空あるいは熱的状態は,2つの検出器に対する適当なパラメーターを選ぶことで必ずそのエンタングルメントを検出できる.この意味でこれらの場の状態はエンタングルしている.一方,インフレーション宇宙での量子場は場の種類によってエンタングルメントの振舞いが決定的に異なる.Massless conformal scalar fieldはエンタングルしているが,massless minimal scalar fieldはHubble scaleを超えるlarge scaleにおいてはどのように検出器のパラメーターを選んでも,場のエンタングルメントは検出できない.この結果は,massless minimal scalar fieldがlarge scaleにおいては古典的に振舞うという量子古典転移の裏付けとなっていることを意味する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績に述べた結論を得ることができ,現在その結果を論文としてまとめている段階である.
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Strategy for Future Research Activity |
量子相関の観測測定の方法も視野に入れつつ,研究計画に沿って進める.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
量子相関の時間発展に対するmaster方程式を導出し,量子状態から古典的状態への転移の様子を明らかにする.
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Research Products
(2 results)