2012 Fiscal Year Research-status Report
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23540297
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
南部 保貞 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40212112)
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Keywords | entanglement / inflation / wave optics / wave scattering / detector |
Research Abstract |
量子場の持つ量子相関の振舞いを場と相互作用する2つの検出器の理論モデルを用いて解析した. 量子論固有の性質であるエンタン グルメントの有無は,このモデルにおいては2つの検出器の状態に対するnegativityとよばれる物理量を用いて判定される. ミンコフスキー時空での真空状態, ミンコフスキー時空での熱的状態, インフレーション宇宙での真空状態に対してエンタングルメントの振舞いを詳細に調べた. Negativityの評価は振動関数の2重積分の形で表現されるため,数値積分を実行することでその振舞いを得た.その結果を用いて,膨張宇宙における検出器間のエンタングルメントの振舞いを議論した.特に,minimal scalar fieldはsuper horizon scaleにおいて,場のエンタングルメントを検出し得ないことを見出した.また,検出器を用いて測定しうる相関の大きさを評価する事で,検出器のモデルと宇宙論的にのぞましい相関関数の関係についての吟味を行なった. 本題の研究テーマに関連して,波動関数で記述される系において幾何光学極限での粒子描像がどのように復活するかを,波動光学的な手法を用いて議論した.具体的には,重力レンズの系において波動の散乱問題の解(波動関数)から検出器(レンズ)を用いて具体的に像の再構築を行い,幾何光学極限における像(レイトレーシングを用いた像)が波動関数を用いてどのように表現されるかを考察した..
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゆらぎの大きさと古典性の関係:観測(測定)しうる量子ゆらぎの大きさとエンタングルメントの有無の相関を見出した.Large scaleにおいて十分に大きなゆらぎの大きさを持つためにはエンタングルメントが消失することが必要である事を,2つの異なるタイプの量子場を比較する事で見出した.これは宇宙の構造の起源となりうるだけの大きさを持つ量子ゆらぎはその量子性(エンタングルメント)を失ってなければならないことを示唆する.
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Strategy for Future Research Activity |
観測検証が困難である初期宇宙でのゆらぎの量子的性質を確認するために,実験室系において宇宙における量子相関の疑似実験を行なうための設定についての研究についても実施して行く.実験測定が可能であるいくつかの物性系を取り上げ,理論的モデルを設定を試みる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
イオントラップを用いた量子実験の状況を想定して,宇宙における量子古典転移の状況がどのように実現可能かを検討する予定である.また量子相関のダイナミクスを追跡するために,検出器に対するマスター方程式の導出を行い,エンタングルメントの時間発展を求める.
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Research Products
(5 results)