2013 Fiscal Year Research-status Report
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23540300
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山脇 幸一 名古屋大学, 素粒子宇宙起源研究機構, 特任教授 (90135301)
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Keywords | 質量の起源 / 複合模型 / ウォーキングテクニカラー / テクニディラトン / 格子ゲージ理論 / 計算機シミュレーション / LHC / 複合ヒッグス |
Research Abstract |
当該研究課題の当初計画の中心は、標準模型を越える強結合ゲージ理論における対称性の力学 的破れによって質量の起源を説明することにあった。具体的には「ウォーキングテクニカラー」 模型や「トップクォーク凝縮模型」などの LHC 実験による検証を進める一方、模型・理論の力学的性質を「はしご近似」や「ホログラフィー」などの従来の解析的手法のみならず、 より信頼性のある格子 QCD の手法を用いた計算機数値シミュレーション による研究を進める事であった。 このうちウォーキングテクニカラーに関する研究が、計算機による数値的研究と模型的・現象論的研究の両者で目覚ましい進展をした。とくに軽い複合ヒッグス粒子としてのテクニディラトンの研究は、予想をはるかに越えて進展した。 前年度からの研究でフレーバー数Nf =8のQCDがウォーキングテクニカラーの候補であることを独創的な手法により世界で初めて計算機シミュレーションで示した。さらに、H25年度はNf =12 の場合に先行研究を出し抜いてパイオンより軽いスカラー粒子を発見しPhys. Rev. Lett誌に掲載した。これはウォーキングの場合のテクニディラトンに対応するもので、業界に大きなインパクトを与えた。実際、本命のNf =8の場合にもパイオンと同程度の軽いスカラー粒子をとらえた。これはテクニディラトンの候補に他ならない。またスケール不変なカイラル摂動論を開発し、データからカイラル外挿でテクニディラトンの質量、崩壊定数を読み取る手法を提唱した。 一方、LHC でのヒッグス粒子発見に前後してテクニディラトンの「はしご近似」 「ホログラフィー」による研究を行い、発見された粒子との整合性を示した。これは模型的研究のみならず数値的研究の研究者を大きく鼓舞することとなった。関連したテクニカラー理論の複合スペクトルの研究を展開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
LHCで発見されたヒッグス粒子がウォーキング・テクニカラーの予言するテクニディラトンと同定できることは本研究での最大の成果 であり、世界的に大きな影響を与えている。2015年に再開されるLHC実験で標準模型を越える理論の探索に大きな可能性を開くものと確信する。 我々のKMI専用計算機による格子ゲージ理論の計算シミュレーションは、もっとも難しいと思われていたフレーバー1重項のスカラー粒子およびグルーボールの測定に様々な技術を駆使して非常にクリーンなシグナルを得ることに成功し、軽い複合ヒッグ スの候補の計算機探索で世界のトップに立つことができた。Nf=12の結果はPhys. Rev. Lett.に掲載し、他のグループでも追試が行われた。Nf=8についてはLattice2013会議で報告し(arXiv:1309. 0711)、さらに最終結果をPhys. Rev. Lett.に投稿中である。 さらにカイラル摂動論をスケール不変なものに改良してテクニディラトンの質量、結合定数をデータから読み取る方法を提唱した。これは格子データから実験と比較する値を読み取るカイラル外挿の公式を与えた事になり、今後本質的な役割を果たすと思われる。 ウォーキング・テクニカラーの予言するその他の複合粒子(テクニパイ、テクニロー)の性質も定量的に予言し、来るLHCの実験での検証に備えた。
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Strategy for Future Research Activity |
LHCで発見された125GeVの粒子を、ウォーキングテクニカラーで予言したテクニディラトンと同定することが出来ることをはしご近似 やホログラフィーを用いて示したのは大きな成果であったが、計算の近似の精度が今後の問題で、2015年から再開されるLHC実 験に向けて理論的改善を試みる。とりわけ、もっとも信頼性の高い計算機実験でおいて、KMIの専用計算機「ファイ」を用いての計算 機実験は、導入後3年間でウォーキング・テクニカラーが予言する軽い複合ヒッグス粒子の候補としての軽い複合スカラー粒子の存在 の兆候を世界で初めてとらえて、先行研究を出し抜いた。今後はNf=8,12の両方についてスペクトルのみならず、ストリングテンション、ディラック演算子の固有値分布、トポロジー、等の多面的な物理量を測定しつつ理論の全貌を解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Aspen Winter Conference"Frontiers in Particle Physics"(平成26年3月15日ー22日)およびRencontres de Morions "Electroweak Interactions and Unified Theories"に出席を予定していたが、いずれも計画を変更し出席を中止したため、未使用額が生じた。 国際会議等出席の旅費に当てる予定である。
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[Journal Article] Non-Perturbative Study of 16-Flavor QCD2014
Author(s)
Y.Aoki, T. Aoyama, M. Kurachi, T. Maskawa, K.-i. Nagai, H. Ohki, A. Shibata, K. Yamawaki, T. Yamazaki
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Journal Title
Proceedings of KMI-GCOE Workshop on Strong Coupling Gauge Theories in the LHC Perspective (SCGT 12)
Volume: SCGT 12
Pages: 460-463
DOI
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[Journal Article] Gluonic observables and the scalar spectrum of twelve-flavour QCD2013
Author(s)
Y.Aoki, T.Aoyama, M.Kurachi, T.Maskawa, K.Miura, K.-i.Nagai, H.Ohki,E.Rinaldi, A. Shibata, K.Yamawaki, T.Yamazaki,
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Journal Title
Proceedings of Science
Volume: Lattice2013
Pages: 073 (1-7)
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[Journal Article] A light composite scalar in eight-flavor QCD on the lattice2013
Author(s)
Y.Aoki, T.Aoyama, M.Kurachi, T.Maskawa, K.Miura, K.-i.Nagai, H.Ohki, E.Rinaldi, A. Shibata, K.Yamawaki, T.Yamazaki
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Journal Title
Proceedings of Science
Volume: Lattice 2013
Pages: 070 (1-7)
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