2012 Fiscal Year Research-status Report
クォーク模型バリオン間相互作用による少数バリオン系の研究
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23540302
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤原 義和 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (70199397)
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Keywords | 理論核物理 / クォーク模型 / バリオン間相互作用 / 少数多体物理 / Faddeev 方程式 |
Research Abstract |
現実的クォーク模型バリオン間相互作用 fss2 を用いた少数バリオン系の Faddeev 計算の応用として、fss2 の nonlocal Gaussian potential を用いた三核子系の散乱問題の AGS 方程式による分析と、四核子系の基底束縛状態の Faddeev - Yakubovsky 方程式による分析を行った。今年度は特に、クーロン力の関与する pd 散乱の記述や pd total breakup cross section を検討した。二体 pd total breakup cross section におけるクーロン力の効果は反応の閾値近傍を除いてはあまり大きくはないが、閾値近傍では大きく実験値を過少評価する。Screening Coulomb force を用いた三体系でのクーロン力の取扱いにまだ問題があると思われる。四核子系の結合エネルギーと平均二乗半径については、AV8' 中間子交換ポテンシャルによる benchmark testを通過した上でfss2 の値として、クーロン力と核力の荷電独立性を考慮したもとで実験値を約 1.5 MeV 過少評価価しており、1.43 fm と多少平均二乗半径が小さいものの、エネルギーの不足分は通常の中間子交換ポテンシャルの約半分以下であり、三核子系の束縛状態や nd 散乱の低エネルギー散乱パラメータにおける事情とよく符合することが示された。現在、クーロン力を陽に取込んだ計算が進行している。また、クラスター間にパウリ禁止状態の存在する二体クラスター RGM kernel を用いた、四体同種粒子系の Faddeev - Yakubovsky 方程式の典型例として、4 quasi-deuteron 系と 4α 系を検討し、現在パウリ原理の取扱いの困難を克服して物理的計算結果が出始めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1. エネルギー依存性を除去したガウス型非局所ポテンシャルについては、現在それを変分計算コードに組込んで数値計算をはじめる段階にある。 2. pd 散乱のクーロン力の取扱いについては、screening Coulomb force の範囲内でほぼ望むべき成果が得られた。特に、三体崩壊反応についてもクーロン力を含めた偏極量の計算が可能になった。 3. Σ- p 散乱については、まだ定式化が進展していない。 4. Faddeev - Yakubovsky 方程式の定式化と計算コードは四同種粒子系については、既に完了している。 現在、open MPI や MPI を用いた計算コードの高速化に手間取っているのが、遅れている最大の理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、現在進めている 4 ボソン系の Faddeev - Yakubovsky 方程式の計算を完成させ、4α基底状態の overbinding problem と小さすぎる平均二乗半径の物理的意味を明らかにする。我々の複合粒子系の四体方程式は複合粒子間のパウリ原理の効果を正確に扱っているので、方程式を具体的に解く際の処方を確立することは大変重要である。 四核子系については、クーロン力以外に二核子間力の荷電依存性の効果を正確に見積もる。現在の、四体計算コードを一つ異種粒子 (Λ, Σ粒子等) が入った系に適用出来るよう改良する。また、計算量が更に増大するので、MPI を用いた計算コードの更なる高速化を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に、国内外の国際会議、研究集会等出席旅費、及び、論文の投稿料、別刷り代にあてる。連携研究者である鈴木宜之氏(新潟大学名誉教授)や河野通郎氏(九州歯科大)との研究打ち合わせ旅費もここから支出する。国際会議については今年 (2013 年) 9 月にポーランドのクラコウで開かれる、ヨーロッパ少数多体問題国際会議に出席する予定である。
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Research Products
(10 results)