2011 Fiscal Year Research-status Report
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23540303
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐々木 隆 京都大学, 基礎物理学研究所, 准教授 (20154007)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交流 / 多添え字直交多項式 / 例外直交多項式 / 離散量子力学 / 多添え字ラゲール多項式 / 多添え字ジャコビ多項式 / 多添え字(q)-ラカー多項式 |
Research Abstract |
厳密に解ける量子力学の研究から,多添え字ラゲールおよびジャコビ多項式の理論を完成した.これらは直交多項式理論の新しいページを開くもので,既に知られていた例外直交多項式を更に一般化したものである.L個の相異なる自然数を添え字として持ち,1より大きいm次から始まるのが特徴である.通常の多項式の満たす3項関係式は満たさないが,完全系を作る.3+m個の確定特異点を持つ2階のフックス型微分方程式(ガウスの超幾何微分方程式の拡張)の大局解を与えるもので,微分方程式論からも非常に興味深い実例になっている.その更なる一般化として,離散量子力学(実シフト)の最も一般的なものであるq-ラカーおよびラカー多項式の多添え字版を具体的に構成した.通常の量子力学のときと同様に,多重ダルブー変換の種として,仮想状態ベクトルをL個用いる.系の持つ離散対称性をひねることにより元のハミルトニアンと線形従属な、しかしゼロモードを持たない2つの仮想ハミルトニアンが得られる.これらから,2種類(タイプ I および II)の仮想状態ベクトルが得られ,それらは片方の境界で方程式を満たさないことで特徴付けられる.また適当なパラメタの範囲内で,仮想状態ベクトルは定符号になる.タイプ I と II とは共存できないのが離散量子力学(実シフト)の特徴である.L=1の場合のIは既知の例外直交多項式に帰着するが、IIは新しい結果である.多添え字(q)-ラカー多項式は,フックス型差分方程式の多くの確定特異点を持つ場合の大域解として興味深いのみならず,種々の応用も期待される.厳密に解ける誕生・死滅過程や,スピン系とそれを用いた量子情報理論で,perfect state transfer を実現する無限個の可能性を与える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定より順序を変えて,純虚数シフト(アスキーウィルソン多項式、ウィルソン多項式)の代わりに実シフトの離散量子力学(q-ラカー多項式,ラカー多項式)の多添え字直交多項式の構成を最初に取り組んだ.理論的詳細の解決に時間がかかったが,完成度の高い仕事ができて満足している.数学系の国際・国内研究会で多数発表して、数学者との対話・連携も順調に進んだ.
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Strategy for Future Research Activity |
純虚数シフトの離散量子力学(アスキーウィルソン多項式、ウィルソン多項式)の多添え字直交多項式の構成が第1の仕事になるが,かなりの程度出来上がっている.その後に,多くの縮退系(実シフト、純虚数シフト)を具体的に構成する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
多変数の場合のカロジェロ-モーザー系の多添え字直交多項式を,有理および三角ポテンシャルについて構成する.すべてのルート系について統一理論を目指す.次に種々の多変数直交多項式を離散量子力学の解として構成し,その多添え字版を目指す.多変数の場合は、反射群で規制して、すべての粒子が対等に相互作用する場合と、隣り合うものだけに相互作用を制限するものとの両方があり、また有限系での端点(境界超平面)の扱い等多くの解決すべき問題がある.
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Research Products
(9 results)